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Meet at TPAM vol.3: 快快(ファイファイ) TPAM2009参加からヨーロッパ・ツアー決定まで
「Meet at TPAM」はTPAMに参加した国内外の舞台人が、どんな出会いをし、どんなプロジェクトを実現したのかをご紹介するシリーズです。

<Meet at TPAM>第3回目はTPAM初参加にして、海外のフェスティバルからの出演依頼が複数あったという、快快の制作 山本ゆいさん、演出家 篠田千明さん、俳優 中林 舞さんにお話を伺いました。

◎今回、初のTPAM参加でしたが、まずは参加の経緯をうかがえますか?

篠田 「快快」は2004年に「小指値」という名前で立ち上げたんですが(2008年快快に改称)、当初から海外で公演したいっていうのが漠然とした夢としてありました。

メンバーのオルガがハンガリー人で、彼女がハンガリーのプロデューサーにDVDや資料を持って行って直接交渉してくれて、去年のうちに2009年8月のハンガリー公演が決まりました。初めての海外公演です。

山本 オルガは2008年のTPAMに、ダンスカンパニーノマド~Sのスタッフとして参加していて、2008年の5月にハンガリー公演の話が出たとき、「TPAMに参加しておいた方がいいよ」と言ってたんですね。結局、11月頃になってしまって、その頃にはハンガリー公演は自費でも行くと決めてたので、ハンガリーの前後にほかの場所での公演に繋げるためにも、TPAMに参加しようという話が再浮上したんです。

一方で、ハンガリー公演の前に、作品を仕上げるために東京公演をしたほうがいいんじゃないかという話があって、会期も合ってるし、海外からプレゼンターも来るから、「TPAMショーケース」に参加して、海外プレゼンターに作品を見せようということになって、急遽、3月の東京公演を決めたんです。
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快快『My name is I LOVE YOU』(2009.03.07-08/ゴタンダソニック)

◎今回TPAMショーケースに参加された『My name is I LOVE YOU』は英語での上演でしたね。

山本 2005年に『My name is I LOVE YOU』を初演したときは、演出の北川陽子が「身体と言葉を分けたい」と言って、そのアイディアを試した作品でした。初演はもちろん日本語での上演だったんです。海外公演が実現化するにあたり、「これは英語でも上演できる、海外でやるならこの作品」とみんなが一致しました。

篠田 まず脚本の北川が簡単な英語に直しました。帰国子女とかではないんで、教科書を見ながら翻訳をしていって、セリフも初演の日本語とはだいぶ違ってます。次にそれをオルガがちゃんとした英語に直して、それから逆にオルガの英語だと難しくなりすぎるところを、言い回しを変えて簡単にしていきました。ハンガリーも母国語が英語じゃないので、それでも解るような英語にしていって。

山本 そうやって台本が出来上がったのが2月の頭くらいで、そのちょっと前から稽古を始めてました。ただ、急に決めたので、もう他のスケジュールが入っていたりして、出演者がそれぞれ稽古を始める感じでした。まとまった稽古期間は1ヵ月にもなっていないと思います。

◎日本語でやるのと英語でやるのと大きく違うと思うんですが、どうでしたか?

篠田 相当大変でした。稽古自体、どう見たらいいかがなかなかつかめなくて・・・。最初、身体が言葉(英語)に引きずられているように見えて。不自由に見えましたね。

中林 日本語で一回普通に芝居して、その身体の感じのまま言語だけ英語にチェンジする稽古をしてました。

篠田 最初、アメコミみたいにしてみようと思ったんだけど、やってみたらぜんぜん面白くなかった。見たまんまじゃんみたいな(笑)。

やってみて「誰もほんとのことがわからない」っていうのがいいなと思って。どの国でやっても・・・例えば、英語が母国語の人にとっては、英語だってことはわかるけどちょっと変な、ガタガタした英語じゃないですか。日本語でしゃべるシーンもあるし。日本人にとっては、日本語はすっと入ってくるけど、英語はそんなに入ってこない。英語が母国語じゃないけど日本人よりは英語が得意な国の人が見ると、また違うんだと思うんです。話もわかって、パフォーマンスもわかって、どの国の人が見ても理解の度合いに差がないっていうのがいいなと思って。たとえ英語も日本語もわからない人が観たとしても、わりとわかるものになってるはずだし。

どの作品でも英語でやりたいとは思わないですけど、この作品はキャラクター同士のコミュニケーションが齟齬をきたしてるというのがあるから、いい感じになったんだと思います。会話になってないっていうのが一見してわかるじゃないですか? それが作品に合ってたと思うんです。

◎英語字幕をつけるという方法もあったと思うのですが?

篠田 『My name…』の場合は字幕をつけるっていうことは考えてなかったです。日本語でやって字幕をつけたとしたら、作品とお客さんとの間の齟齬の方が大きくなる気がして。もしも字幕を付けるとしたら、相当凝らないとと思ってました。ただ翻訳を付けるんじゃなくて、映像としてパフォーマンスと一体に見られるんだったらいいけど・・・。最終的には、まだ考え中だったんですけど、11月のTPAMの〆切ぎりぎりに「どっちかに決めて」って言われて、「じゃあ英語にします」って(笑)。

山本 英語でやるのは初めての試みだったし、〆切がないとなかなか決まらなかったいというのはありますね。
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快快『My name is I LOVE YOU』(2009.03.07-08/ゴタンダソニック)

◎TPAMショーケースに参加する場合、稽古と本番で忙くてTPAMの会場に来られないという問題がありますが、参加者への事前コンタクトはできましたか?

山本 稽古と並行して、TPAM会期前にコンタクトリストから海外の方には全員英語でメールを出して、国内の方も何人か事前にコンタクトをしました。

オープニング・レセプションには英語のできるハンガリー人を派遣しました。英語ができないと、簡単なコミュニケーションはとれても、具体的な話ができないので。ネイティブじゃなくても、英語ができる人がいるとぜんぜん違います。あと、その人の性格の問題もあると思う。TPAMの会期中にも、英語のできるスタッフに会場でDVDを配ってもらいました。直接メールをもらうなどの連絡はありませんでしたけど、そのDVDを見て公演に来てくれたひともいたと思います。

篠田 メンバーに、「TPAM、やるなら利用しようよ」って言って、制作的なことをちゃんとやってくれる人がいたからよかったと思います。

山本 TPAMの出展者説明会には、私の予定が合わなくて、役者の大道寺が行ったんですね。彼女が説明会のあとに、「こっちがアプローチすれば、事務局が協力してくれるんじゃないか。こっちがほんとに利用する気で参加しないと、ただ公演するだけで終わっちゃう」って言って。説明会の会場でも、ハンガリー公演をするにあたっての助成金の話を相談したらしいんですけど、説明会のあと、みんな益々TPAMを利用しようっていう気持ちになったんだと思います。

◎今回のTPAM参加は、ハンガリー公演が決まっていて、そのことがプロフィールにも書かれていたので、海外プレゼンターの注目も集まったのではないかと思います。実際にどんなプレゼンターが公演を観に来られましたか?

山本 ハンガリーの隣、スロヴェニアのムラディ・レヴィ・フェスティバルのディレクターのネヴェンカ・コプリヴシェクさん、ベルリンHAU劇場の芸術監督マティアス・リリエンタールさん(※1)、同じくドイツのテアター・デア・ヴェルトフリー・レイセンさん(※2)は2回も観に来てくれました。そのときはどこのフェスティバルのどれだけすごい人かもわからなかったですけど。

篠田 いわゆる“劇場”じゃなくて、ゴタンダソニックっていう場所だったのもよかったかもしれませんね。新しくできたのは知ってたんですけど、見に行って、キッチンがあるのがひとつの決め手になった。前に公演のあとにレセプション的なことをやってすごくよかったことがあったんですけど、今回、TPAMに参加するということもあって、あえてケータリングやDJを入れて公演のあとに観客と話せるような時間を設けたんです。

山本 メンバーみんな、ただ公演を見せるだけじゃなくて、クラブでイベントするのも好きだし、劇場空間で見られるより、イベント空間で見られるのが好きなので、海外の企画でもいわゆる劇場じゃなくてイベント形式にできないかと思って。

◎公演後のパーティのとき、中から歓声が聞こえてきたと言ってる方がいました。

山本 ネヴェンカさんが、その場で8月のハンガリー公演のすぐあとにあるフェスティバルに招待したいと言ってくれて、もう喜んじゃって(笑)。オルガから、TPAMに参加しても、公演が決まったりするのは2~3年後だと聞いてたので、ほんとにびっくりしちゃって。

マティアスさんは時間がなくて、公演後にすぐ帰ったんですけど、もう次の日に「会えるか?」って連絡が来て。青山の喫茶店で会って、10月のAsia-Pacific Festival Berlinに招待したいと言ってくれました。『My name…』をやる予定です。

いままで私たちの予定って、1年以内も決まってるかどうかだったのに、いきなりこんなに予定が決まっちゃって、みんなほんとにびっくりしてます。海外はカンパニーを始めたころから行きたかったので喜んでるんですけど、作品をどうするか、ちゃんと考えないと。

篠田 ハンガリーではパフォーマー向けのワークショップをやって欲しいと言われてて、それもあって先月横浜で、2010年1月のシアタートラム公演の出演者オーディションを兼ねて、初めてワークショップをしました。

◎そうすると、海外公演が2つ決まったわけですね。

山本 それが、ネヴェンカさんの紹介で、ハンガリー公演とスロヴェニア公演の間に、オランダのフローニンゲンである「ノールデルゾン」というフェスティバルに参加することが決まったので、ハンガリーのあと、3ヵ所回ることになりました。

ほかにも、公演を観てくれたウィーンのプレゼンターから連絡がきて、「忘れられない。ハンガリーにも見にいく」と言ってくれてます。その場で決まったというのではないですが、興味をもって連絡をくれていますね。

私たち、なにしろ海外にコネクションがなかったので、コネクションがなくても実際に作品を見てもらえるというのが一番大きかったと思います。TPAMのような場がなければ、特に海外の人にはなかなか作品を見てもらうこともできないので。

例えば、最初からツテのある制作者の方に紹介してもらうこともできたんでしょうけど、裏から責めてやっても、たぶん快快の場合は実際に作品を観てもらわないとダメだったと思います。間に誰も入れずに、TPAMのようなイベントをみつけて、自分たちで応募して、公演して、観てもらえて、決めてもらえたっていうのが良かったと思う。

◎そうですね。TPAM事務局でも、そういったなんのネットワークもないカンパニーにこそ、直接、プレゼンターと会えるチャンスを充分に利用していただいて、TPAMを有効活用していただきたいと思ってます。

篠田 すごく有意義なことだと思いますよ。特に快快と同じくらいのカンパニーとか、面白くて自信さえあれば、ちゃんと利用してやれば成果が出ると思う。私、ともだちにすすめました(笑)。

◎ありがとうございます! 今年は海外公演で大忙しになりそうですが、これからやりたい企画などはありますか?

中林 今回、海外が決まりましたけど、私は国内も回った方がいいと思ってて。具体的に「どこ」というのはないんですけど、東京だけじゃなくて、地方でやってみたいですね。北海道とか?

篠田 私は、アジアの方へ行ってみたくて。香港藝術フェスティバルとか。コネもなんにもないですけど(笑)。

山本 今回もコネもなんにもないのに、手探りだったけどやっていって、できちゃった(笑)。非常識なのかもしれないけど、それが逆に良かったのかもしれません。初めての海外公演ですけど、周りに心配してくれて、状況をわかってくれて相談に乗るよって言ってくださる方が多いので、ありがたいです。

◎TPAMも力になりたいと思っていますので、なにかあればいつでもご相談ください。今年のヨーロッパ・ツアーを契機にますます公演数も増えていくと思うのですが、これからもTPAMで新しいプロジェクトのきっかけを見つけたり、新しい舞台人とのネットワークづくりに利用していただきたいと思っています。今日はありがとうございました。
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快快『My name is I LOVE YOU』(2009.03.07-08/ゴタンダソニック)


◆ INFORMATION ◆

快快 2009年『My name is I LOVE YOU』ヨーロッパツアー

◎ハンガリー/ブダペスト
日時:8月14日(金)・15日(土)20:00
会場:Szkene Theatre Budapest
※ワークショップ:8月1日(土)~10日(月)

◎オランダ/フローニンゲン
ノールデルゾン・フェスティバル参加
日時:8月21(金)19:15 / 21:45・22日(土)19:15 / 21:45
会場:Grand Theatre Groningen

◎スロヴェニア/リュブリャナ
ムラディ・レヴィ・フェスティバル2009参加
日時:8月25日(火)~27日(木)17:00
会場:Glej Theatre

◎ドイツ/ベルリン  詳細決定!
第7回Asia-Pacific Weeks関連プログラム
日時・会場:10月14日(水) 22:30 快快パーティ(Foyer of HAU 2
       10月16日(金) 21:00 公演+パーティ(Foyer of HAU 2)
       10月17日(土) 22:00 公演+パーティ(Foyer of HAU 2)

フェスティバル・データ

●ノールデルゾン・フェスティバル
(Noorderzon Performing Arts Festival [NZ])

オランダ北部のフローニンゲンで毎年開催されるパフォーミング・アーツのフェスティバル。例年8月第3週目からの11日間に開催され、11~12万人が訪れる。2000年に小さなミュージック・フェスティバルとして始まったが、現在では、美術、音楽、ダンス、演劇の分野にまで広がっている。パフォーマンスは市立公園内の特設テントや路上、市内の劇場、映画館、工場、教会などで行われ、国際的且つ演劇と他のパフォーミング・アーツが融合した作品を積極的に紹介している。

● ムラディ・レヴィ・フェスティバル(Mladi Levi Festival)
スロヴェニアの首都リュブリアナで毎年開催されている演劇とダンスの国際フェスティバルで、独創的アイディアと方法で作品をつくるアーティストやカンパニーの作品を取り上げている。ムラディ・レヴィは、ドイツ、オランダ、チェコ、ラトヴィア、トルコ、イタリア、ベルギー、デンマーク、スペイン、英国、フランス、ノルウェー、スロヴァニアのプロデューサー、マネージャー、オーガナイザーの国際ネットワーク「JUNGE HUNDE」のメンバーである。このネットワークは、ヨーロッパ演劇の革新的傾向を更新し、地域の枠組みの外、あるいは国境を越えての協力を促進する状況を創出するために、若いアーティスト同士を結びつけ、その作品を世界のより多くの観客に提供することをミッションとしている。ヨーロッパで最も魅力的で優れたフェスティバルのひとつとみなされており、興味深いプログラムを提供するだけでなく、アーティストにフェスティバル全会期中滞在させ、他のカンパニーの作品を観たり、連携し、意見交換や新しいアイディアづくりの機会を提供することによって、未来の共同制作へとつなげている。

● アジア・パシフィック・ウィーク(Asia-Pacific Weeks [APW])
1997年からベルリンで隔年で開催されている、西はパキスタン、北はモンゴル、東は日本、南は大西洋諸島までをカバーするアジアにフォーカスした催事。ドイツ連邦政府・省庁、大使館、企業、美術館、劇場、ドイツ文化センター、アジアの文化団体、大学、研究所、財団などの協力により、ビジネス、科学、文化、社会の分野にわたる250以上のイベントが繰り広げられる。1999年には日本がテーマとなり、2009年には、アジア・パシフィック・ウィーク関連イベントとして、HAU劇場で日本特集が組まれ、快快のほか、チェルフィッチュなどが参加予定。

プレゼンター・インタビュー

国際交流基金が運営するウェブサイト「Performin Arts Network Japan - PANJ」にマティアス・リエンタール、フリー・レイセン両氏のインタビューが掲載されています。両氏のいままでの仕事や現在取り組んでいるプロジェクト、その社会的・文化的背景などについて知ることができます。

※1)マティアス・リエンタール氏インタビュー
「パフォーミングアーツの震源地HAU “世界に摩擦を起こす”その企みとは?」


※2)フリー・レイセン氏インタビュー
「欧州のアートシーンを牽引するフリー・レイセンが見るフェスティバルのアイデンティティとは?」


その他、下記原語表記での検索で、英語をはじめ各国語サイトから情報を得ることができます。

Ms. Nevenka KOPRIVŠEK(Director, Bunker/Mladi Levi Festival)
Mr. Matthias LILIENTHAL(Artistic Director, Hebbel am Ufer)
Ms. Frie LEYSEN(Curator, Theater der Welt 2010)

国際交流基金の海外公演助成

今回の快快ヨーロッパ・ツアーは、TPAM主催団体のひとつ、国際交流基金の助成を受けています。助成の詳細については、国際交流基金HPの「助成申請について」ページから、「文化芸術交流 > 海外助成」をご覧ください。
→ 国際交流基金 海外公演助成ページへ

快快 今後の国内スケジュール

2009年11~12月
フェスティバル/トーキョー09秋 参加
F/Tステーションにて、快快イベント開催予定

2010年1月
シアタートラム ネクスト・ジェネレーションVol.2
世田谷区芸術アワード“飛翔”2008受賞者公演
快快『Zeller Schwarze Katz[論文編]』(仮)再演
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by welcome-tpam | 2009-07-02 12:25 | Meet at TPAM
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