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IETMサテライト・ミーティング・イン・ソウル
IETM Satellite Meeting in Seoul 2007
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10月11日~14日 IETMサテライト・ミーティング・イン・ソウルに参加してきました。前記事にありますソウル芸術見本市と併催された本ミーティングは、TPAMのオフィシャルページでも紹介されているように来年3月、東京芸術見本市2008の開催にあわせて、東京でも開催されます。詳しくはコチラ

IETMとはインターナショナル・ネットワーク・フォー・コンテンポラリー・パフォーミング・アーツという会員制組織で、年に2回の本会議と2~4回のサテライト・ミーティングを行っています。その名の通り、コンテンポラリー・パフォーミング・アーツ業界のプロフェッショナルが集まり、そしてつながっていくネットワークであり、元々ヨーロッパで築かれたものが、現在サテライト・ミーティングを通じてアジアでその輪を広げています。

■ 会議名    IETM Satellite Meeting in Seoul
■ 開催期間  2007年10月11日~14日
■ 開催場所  Korea Foundation Cultural Center
          National Museum of Korea

■ プログラム
プログラムの中心は6つのカンファレンス。下記のテーマで開催されました。

    セッション1: Performing Arts Management
            パフォーミング・アーツ・マネジメント
    セッション2: Performing Arts Events & Management
            パフォーミング・アーツ・イベント&マネジメント
    セッション3: Performing Arts Place & Management
            パフォーミング・アーツ 劇場&マネジメント
    セッション4: Mobility & Collaboration
            (舞台芸術の)移動性&コラボレーション
    セッション5: Performing Artists & Management
             パフォーミング・アーティスト&マネジメント
    セッション6: Performing Arts & Cultural City
             パフォーミング・アーツ&文化都市

日本からも、空間創造研究所 宮崎刀史紀氏、世田谷パブリックシアター 松井憲太郎氏、アンクリエイティブ 永利真弓氏、アート・ネットワーク・ジャパン 相馬千秋氏が、各セッションのスピーカーとして参加されていました。

ヨーロッパからのスピーカーとアジア(韓国、シンガポール、インドネシア、オーストラリア、モンゴル、台湾、中国、香港、日本)からのスピーカーが各テーマにのっとり、それぞれのプロジェクトの紹介や問題点、今後の展望などについて話を聞くことができました。

■ セッション1: Performing Arts Management

モデレーター: Sungyeop Lee氏
          (韓国/Uijeongbu Music Theater Festivalディレクター)
スピーカー:
Amna S. Kusumo氏(インドネシア/Kelola Foundationディレクター)
宮崎刀史紀氏(日本/空間創造研究所)
Munkhtuul Dashnyam氏(モンゴル/Arts Management
                    Information & Resource Center)
Judith Knight氏(英国/Artsadmin ディレクター)
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このセッションでは、主に各国のアーツ・マネジメントの教育環境やプログラム内容、人材育成について、また、アーツ・マネジメントに関わる最新のトピックなどについて、話されました。

インドネシアでは、アーツ・マネジメントに対する資金調達が難しいことから、アメリカ合衆国やオーストラリアからサポートを受けている状況、一方で、アーツ・マネジメントの歴史があるイギリスで現在問題になっているトピックなど、全く異なる現状を同時に聞くことができるセッションでした。日本の現状として、指定管理者制度の話を空間創造研究所の宮崎さんが紹介されていました。


■ セッション2: Performing Arts Events & Management

モデレーター:Christophe Blandin-Estournet氏
          (フランス/Excentrique Festival 芸術監督)
スピーカー:
Meekyung Choo氏(韓国/DAUM Institute for the cultivating &
               Research of the arts ジェネラル・マネージャー)
Ratna Riantiarno氏(インドネシア/Art Summit Indonesia 2007
                舞台芸術部門委員長)
Anna Pitkanen氏(フィンランド/Kuopio Dance Festivalディレクター)
             (韓国/Kuochon Hamadan Festival)
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このセッションでは、フェスティバルを中心に、各スピーカーが携わっている催事の成り立ちや構造、問題点などについて議論されました。韓国では、近年急速にフェスティバル、特にコンテンポラリーのものが発達し、地域性と密接な関わりがある点、またインドネシアでは国政に左右されてしまう現状が紹介されました。

中でもフィンランドでは、他2カ国と違い、国からのサポートが充実していて、特にコンテンポラリー・ダンスが発展する基盤が作られているという話があり、その環境の違いを目の当たりにしました。また、「“Festival”と”Art Event“の違いは?」という質問から議論がされたのですが、単純に公演数や公演期間で分けるという意見や、”Festival“と銘打ったほうが資金調達しやすいなどという戦略的な意見など、その言葉に込められている意味の深さを考える機会であり、またそのことを話し合うこと自体が有意義であると感じました。


■ セッション3: Performing Arts Place & Management

モデレーター:Ping Heng氏(台湾/Crown Art Center ディレクター)
スピーカー:
松井憲太郎氏(日本/世田谷パブリックシアター プログラム・ディレクター)
Amy Barrett氏(オーストラリア/Lennard ディレクター)
Hyeon-wook Jeong氏(韓国/Sadari Art Center ディレクター)
Nan Van Houte氏(オランダ/Frascati Theatre ディレクター)
Mariam De Clopper(ベルギー/deSingel プログラマー、プロデューサー)

各国の劇場からスピーカーが招かれた本セッションでは、世田谷パブリックシアター(日本)、ピカ(PICA:Perth Institute of Contemporary Arts/オーストラリア)、サダリ・アートセンター(韓国)、フラスカティ劇場(オランダ)、デ・シンゲル劇場(ベルギー)の紹介が、設立から現在にいたるまで、その背景である各国の舞台芸術環境を交えて話がなされ大変興味深いものでした。

劇場とアーティストの関係といったものが話しの随所にあらわれ、劇場がアーティストを育成する役割の一端を担い、また一方で観客へのアプローチのための戦略もとるという、まさにプラットフォームとしての「劇場」ということを意識したセッションでした。特に、自由な発想の若手アーティスト達にとって固定空間で作品創造するという絶対的な有効性はもはやなく、劇場を飛び出しサイトスペシフィックなものがどんどん出てきている、という意見がデ・シンゲルの方から話された点が印象的で、劇場空間が今後どのように変化していくのかという期待が膨らむものでした。

この回から会場をNational Museum of Korea に移して、行われました。

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ちょうど吉野ヶ里展も開催されていました。街の中心部から少し外れたところに位置していたため、のどかな雰囲気も楽しむことができます。

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周囲の草むらには、うさぎが・・・

■ セッション4: Mobility & Collaboration

モデレーター:Mary Ann DeVlieg氏(ベルギー/IETM事務局長)
スピーカー:
Katelijn Verstrate氏
(シンガポール/Asia Europe Foundation プロジェクト・マネージャー)
Alison Carroll氏(オーストラリア/Asialink Arts ディレクター)
Jong-ho Lee氏(韓国/SIDance 理事長)
Simon Kirby氏(中国/SKA Culture)
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世界のアーティストが本国以外でパフォーマンスを行う可能性、実際に現地で創作活動を行うことによる創造性、協同製作の有効性、また、その問題と対策についてなど、モビリティ=流動性、可動性にまつわる様々なトピックについて議論されました。韓国の国際的なダンスフェスティバルであるSIDanceの他、実際にアーティストや舞台芸術が国境を越えて行き来するような事業を企画、助成を行っている機関の方が中心となって話がされました。

資金調達の問題だけでなく、舞台芸術が他の文化、歴史、習慣がある土地に行くことには様々な障害があります。その解決のために、実際現地に行く前にできるだけ効果的に調整ができるようにするツールとして“On-line Platform”という提案がASEF(Asia –Europe Foundation)からされていました。また単純に国境を越える以上の結果について、アーティスティックな側面からの提案(具体的には作品の紹介)もあり、なかでも、モビリティ=ヒューマン・ライツ(人間の権利)という言葉が大変印象に残りました。具体的に成果を計ることが難しいトピックではありますが、なぜ舞台芸術が国境を越えるのか、立ち返ってみる必要性を感じるものでした。


■ セッション5: Performing Artists & Management

モデレーター:Rosemary Hinde氏(オーストラリア/
         Hirano Productions マネージング・ディレクター)
スピーカー:
Seok Kyu Choi氏(韓国/Asia Now ディレクター)
永利真弓氏(日本/アンクリエイティブ代表)
Sung Eun Jang氏(韓国/Seoul Ballet Theater 国際部門ディレクター)
Judith Knight氏(英国/ArtsAdmin ディレクター)
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特にアーティストと直接関わる立場にいらっしゃる方々が集まった本セッションでは、アーティストにとってどのような環境、サポートが必要か、また実際にどのようにプロモーションしているのかといったことをメインにそれぞれのお話を聞くことができました。AsiaNowのプロデューサーのCho氏は、韓国から数多くのカンパニーを国際的なフェスティバルで紹介し、活躍の場を世界へ広げている事例を紹介されていました。

単純に海外に持っていくのではなく、各国のマーケットにあったアーティストを紹介することや、海外に行った方が伸びるアーティストを見極めるといった戦略については、実例も多く説得力がありました。また、アンクリエイティブの永利さんの実経験に基づいた話は臨場感溢れて興味深く、またアーティストに対する情熱が客席に伝わってくる様子が感じられました。
           
■ セッション6: Performing Arts & Cultural City

モデレーター:Benny Chia氏
         (香港/Fringe Club & City Festival ディレクター)
スピーカー:
Kab Soo Kim氏(韓国/Asia Cultural Hub City Project)
相馬千秋氏(日本/急な坂スタジオ ディレクター)
Georges Poussin氏(フランス/Section of Creative Industries
                for Developing UNESCO チーフ)
Kwon Huh氏(韓国/Seoul Youth Center for
                Cultural Exchangeディレクター)
Pekka Timonen氏(フィンランド/Culture for the City of Helsinki
                                      ディレクター)
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ヨーロッパとアジアの文化都市の違いにフォーカスした本セッションは、欧州文化都市、ユネスコのクリエイティブ・シティ、韓国・光州のアジアン・ハブ・シティ、そして横浜の文化政策の各事例を基に、それぞれの成り立ちや担っている役割、将来のビジョンなどが紹介されました。

UNESCOや欧州文化都市の政策は複数国が共同で、指定都市を文化的にバックアップし、文化都市同士のネットワークがその後発展し互いのプレゼンスを高めていくという、広範囲で長期的なプロジェクトです。また、光州のアジアン・ハブ・シティは、立ち上げまでの過程や、今後どのようなプランで進んでいくかといったことが紹介されました。

アジアでは、文化政策を各国が独自に行っているなか、アジアン・ハブ・シティとしてどのようにコンテンツを集約し発信していくのか、大変楽しみでもあります。急な坂スタジオの相馬さんが紹介された“Yokohama – The Creative City of Art and Culture”と題した横浜の活動も、建築物のリノベーションや、歴史的に見ても異文化が混ざり合い新しい創造物が生まれる環境など、都市が牽引する文化政策の事例として注目されていました。


■IETM@TPAM
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IETMセッション後も、話はつきません。

以上、6つのセッションを、思い出し、そしてかい摘んで、且つ個人的な所感にてご紹介してしまいましたが、セッション以外での時間、ランチやレセプションでの会話が参加者にとって重要な情報になったのではないでしょうか。スピーカーの方とは、普段お話する機会もないですが、ランチタイムなどでは、セッションを聞いているので具体的な話題もあり、カジュアルな雰囲気で気軽に声をかけられるチャンスです。興味を持って話しかければ、たとえ英語に自信がなくても、親身に答えてくれますし、話も聞いてくれます。お互い英語が母国語でないケースの方が多いくらいですが、内容を共有しているので、通じ合う部分が必ずあると思います。

「ネットワーク会議?」、「サテライト・ミーティング?」と、なんとなく漠然としていて掴み所のなかったIETMサテライト・ミーティングでしたが、初めて参加してみてわかったことは、世界中にいる、似たことをやっていて、似た悩みを持っている人たちが、顔を合わせて話ができる場であり、参加者に対してとってもウェルカムな雰囲気の会ということです。ネットワークとは決して目に見えるものではありませんが、きっとここでは、それを肌で感じ、実感できる場所だと思います。会員でなくてもIETMのミーティングに参加できますので、是非、来年3月のIETM@TPAMに足を運んでみてください。

つか
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by welcome-tpam | 2007-11-20 17:28 | IETM ミーティング
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