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Meet at TPAM vol.1:横浜赤レンガ倉庫1号館 堀木結さん
「Meet at TPAM」はTPAMで出会った国内外の舞台人が、
どんなプロジェクトを実現していったかをご紹介するシリーズです。

ダンス共同制作プロジェクト『Aaressa ~かたわらで~』
横浜赤レンガ倉庫1号館 プロデューサー  堀木 結さん

第1回目の<Meet at TPAM>は横浜赤レンガ倉庫1号館プロデューサーの堀木結さん。12月7日から始まる日本-フィンランド-韓国 ダンス共同制作プロジェクト『Aaressa ~からわらで~』の準備の合間をぬってお話しをうかがいました。

◎ 堀木さんが手がけていらっしゃる、日本―フィンランド―韓国 ダンス共同制作プロジェクトの立ち上がりの経緯をうかがえますか?

横浜赤レンガ倉庫では毎年「横浜ダンスコレクション」を開催していますが、2004年より3年間にわたって、日仏共同制作プロジェクトとして、フランスの演出家による作品を日仏両国の俳優、振付家/ダンサー、舞台スタッフを起用して制作、両国で公演して大きな反響を呼びました。

この経験をふまえて、今年度より3年間はこれからダンスに力を注ごうとする2~3カ国の共同で、若手アーティストが作品作りだけを目的とするのではなく、両国の交流、教育事業展開を目指すプロジェクトについて発案、検討していたところ、フィンランド・ダンス・インフォメーション・センターからの賛同を得て、日本とフィンランド、そして韓国の3カ国共同のプロジェクトを3ヵ年計画にて行うことが決定しました。

しかし、フィンランドでの受け入れ先と開催時期について頭を悩ませていたところ、今年3月の東京芸術見本市(TPAM)で、フィンランドのフルムーン・ダンス・フェスティバルディレクター、ハッリさんにお会いしたんです。

◎ ハッリさんのことは以前からご存知だったのですか?

いえ、TPAMで初めてお会いしたのですが、お話しする中で、若手アーティストへの機会提供という基本理念の一致から、すぐに意気投合しました。

また白夜など日本にはない自然環境を体験でき、フィンランドで最も良い季節とされる7月に開催されることや、世界各国からも注目を集め、参加アーティストの将来展望も期待できるフェスティバルということで、思い切って、その場で共同開催を決定しました。

◎ その場で!?

はい(笑)。そして、最終的に、毎年日本とフィンランドの振付家やダンサーが、横浜とフィンランドでアーティスト・イン・レジデンスを実施し、レジデンス期間中に生まれた作品をそれぞれの場所で舞台作品として発表しようということになりました。

3月にTPAMで出会ったその場で、7月のフルムーン・ダンス・フェスティバルへの参加を決めたので、その翌日からが大変でした。既に大部分が決定していたフェスティバルのプログラムに新しいプログラムを組み込んでいただき、既に入稿が迫っていた集合チラシに情報を間に合うよう手配するなど、慌しく準備が始まりました。

◎ それは・・・想像するだに大変そうですね。そして迎えられた4ヵ月後のフェスティバルはいかがでしたか?

7月のフルムーン・ダンス・フェスティバルには、「横浜ダンスコレクションR」の横浜ソロ×デュオ<Competition>+の受賞者の中から、森下真樹さんとイ・ソンアさん(韓国)に参加していただきました。フィンランドでの2週間のレジデンス中、森下さんとソンアさんが地元のダンサーに振付をし、その作品を発表することができました。

また、ハッリさんからの依頼で、フェスティバルの本公演でも自作のソロ作品をそれぞれが、2日間にわたって公演しました。フィンランドにはない2人の個性的な作品はフェスティバルで発表された作品の中でもとても評判がよく、地元の観客の方々にもご満足いただけたと思います。

また、まだ「横浜ダンスコレクションR」をご存知でない各国のディレクターにも良い紹介の場となりました。フルムーン・フェスティバルでお会いした方々が来年2月の「横浜ダンスコレクションR」にいらしていただけることにも繋がり、プロジェクトの「成果」は予想以上に広がっています。

◎ フェスティバルの行われたピュハヤルヴィの町はいかがでしたか?

ピュハヤルヴィの町自体は交通のアクセスが良いとは言えない場所でしたが、フェスティバルの期間中は世界中からダンス関係者が集まってきます。

夏季休業中の屋内アイススケートリンクや消防署内の一角、使用していないスポーツジム、果てはスーパーマーケットの駐車場。あらゆるスペースで思い思いにパフォーマンスをするダンサー達を通し、ダンスに身近に触れ、自らもダンスで自己表現をする地元の若者の姿を数多く目にしました。

15年前に町の復興のために立ち上げられた「フルムーン・ダンス・フェスティバル」が「まち」全体に大きな活力をもたらし、アートに対する町の人たちの認知度を高め、また町の人たちのアートに対する意識や知識を高めていることを強く感じました。参加する側、支える側共に地元の方々との協働でフェスティバルが開催されている現場を目の当たりにし、とても感激しました。

◎ 横浜でも参考にできるような点はありましたか?

市民との協働はこれからの横浜の文化振興において、最も大切な要因の一つです。また、劇場やスタジオなど、従来のパフォーマンス・スペースだけでなく、市民がさまざまな場所でアートに触れる場を提供していくことも、より広く芸術文化を広げるためには必要です。

フルムーン・ダンス・フェスティバルはその両方を叶え、地元から発信されるオリジナリティあふれる街づくりに貢献していて、横浜でもそういった展開方法を参考にしていきたいと強く感じました。

◎ そしてプロジェクトの第2弾として、今度は「横浜赤レンガ倉庫1号館」にフィンランドのアーティストを招いてのレジデンス、そして作品の発表が目前に迫っていますね。

11月の初旬から、フィンランドからダンスだけでなく映像や音楽の分野でも活躍をしているヴェーラ・ネヴァンリンナさんをここ横浜に迎え、12月7、8、9日の本番に向けて、森下真樹さんとイ・ソンアさんとともに、新作『Aaressa ~かたわらで~』のクリエイションを行っています。

今回の公演では『Aaressa ~かたわらで~』のほか、ヴェーラさんのソロ『News』、森下さんの『デビュタント』と日本とフィンランドを代表する二人の代表作も同時上演します。日本とフィンランド、それぞれスタイルの異なる二人のアーティストの作品をこの機会にぜひ一緒にお楽しみいただきたいと思っています。
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◎ 一時的な「イベント」ではなく、双方に長期的な関係をもたらしてくれるプログラムで、日本・フィンランド両国にとって、とても価値のある試みですね。TPAMがそのきっかけをつくれたことを、とても嬉しく思います。堀木さんとハッリさんのプロジェクトは、今後、どのように展開していくのでしょうか?

会場やアーティストはまだ決定していませんが、来年も引き続きハッリさんのフルムーン・ダンス・フェスティバルにお世話になることを検討しています。

このプロジェクトは、「Education(教育)」「Exchange(交流)」をテーマに掲げて、若手アーティストの育成を目指して立ち上げられました。今後も、アーティスト同士が出会い、それぞれの文化的背景を超えて理解しあうことによって新しい作品を生み出す・・・その土壌づくりを進めていければと思っています。

◎ TPAMも少しでも多くのプレゼンターやアーティストにクリエイティブな出会いの場を提供できるように、たくさんの方にご参加いただき、ご意見やご提案、ご批判を頂きながら、試行錯誤を続けていきたいと思っていますので、ぜひこれからもご活用・ご協力をお願いします。

TPAMを通して広がっていく舞台芸術の可能性を機会があればぜひご紹介したいと思います。

◎ ありがとうございます。堀木さんとハッリさんのプロジェクトがこれからどう展開していくのか、ワクワクしますね。今日は公演前のお忙しいところ、どうもありがとうございました。

<取材者メモ>

取材の冒頭に、なんと堀木さんが4年前のTPAMで学生ボランティアとして仕事をしてくださっていたことが判明!

メールのやりとりもすでにベテランの貫禄(失礼!)があり、学生ボランティアさん=赤レンガの堀木さんというのがなかなかむすびつきませんでした。

が! そういえば、そうでしたそうでした!! 4年前、TPAMの会場だった池袋の東京芸術劇場を駆けずり回ってくださった、生真面目で真摯、そしてバイタリティに満ち溢れた女性がいました!!

パフォーミングアーツに対する 静かな貪欲さ。
4年前の堀木さんの印象です。あの頃、堀木さんはそれを密かに暖めて、めいっぱい出していける日を今か今かと待っていたのだと、いまさらながら感じます。

いろいろなかたちでTPAMに携わってくださった方々が、舞台芸術の世界で活躍されていることを知って、ガラにもなく胸が熱くなった一日でした。(K.N)


◆公演情報◆

この公演は終了しました


日本-フィンランド-韓国 ダンス共同制作プロジェクト
『Aaressa ~かたわらで~』

<日時>
12月7日(金) 19:00開演/8日(土) 15:00開演/9日(日)15:00開演
※開場は開演の30 分前です。

<会場> 横浜赤レンガ倉庫1号館3F ホール

<プログラム>
『News』
振付・出演:ヴェーラ・ネヴァンリンナ/サウンド・デザイン:トーマス・ノルヴィオ

『デビュタント』 振付・出演:森下真樹

『Ääressä ~かたわらで~』 (レジデンス期間中に創作された新作)
振付:ヴェーラ・ネヴァンリンナ
サウンド・デザイン:トーマス・ノルヴィオ
出演:ヴェーラ・ネヴァンリンナ/森下真樹/イ・ソンア

<チケット>
一般:3,500 円/学生:2,500 円/当日:4,000 円
※全席自由。未就学児はご入場いただけません。

<チケット取り扱い>
横浜赤レンガ倉庫1号館(TEL:045-211-1515)
チケットぴあ(Pコード:380-740)
(HP:http://t.pia.co.jp/TEL:0570-02-9999)
JCDN(HP:http://www.jcdn.org/

<主催>
横浜赤レンガ倉庫1号館(財団法人横浜市芸術文化振興財団)/
フィンランドセンター/Finnish Dance Information Center

<お問合せ>
横浜赤レンガ倉庫1号館(財団法人横浜市芸術文化振興財団)
TEL:045-211-1515
サイト: http://www.yaf.or.jp/facilities/sonota/aaressa/
ブログ: http://ameblo.jp/ydcr/
※レジデンスの模様をブログで配信しています。
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by welcome-tpam | 2007-11-29 14:16 | Meet at TPAM
IETMサテライト・ミーティング・イン・ソウル
IETM Satellite Meeting in Seoul 2007
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10月11日~14日 IETMサテライト・ミーティング・イン・ソウルに参加してきました。前記事にありますソウル芸術見本市と併催された本ミーティングは、TPAMのオフィシャルページでも紹介されているように来年3月、東京芸術見本市2008の開催にあわせて、東京でも開催されます。詳しくはコチラ

IETMとはインターナショナル・ネットワーク・フォー・コンテンポラリー・パフォーミング・アーツという会員制組織で、年に2回の本会議と2~4回のサテライト・ミーティングを行っています。その名の通り、コンテンポラリー・パフォーミング・アーツ業界のプロフェッショナルが集まり、そしてつながっていくネットワークであり、元々ヨーロッパで築かれたものが、現在サテライト・ミーティングを通じてアジアでその輪を広げています。

■ 会議名    IETM Satellite Meeting in Seoul
■ 開催期間  2007年10月11日~14日
■ 開催場所  Korea Foundation Cultural Center
          National Museum of Korea

■ プログラム
プログラムの中心は6つのカンファレンス。下記のテーマで開催されました。

    セッション1: Performing Arts Management
            パフォーミング・アーツ・マネジメント
    セッション2: Performing Arts Events & Management
            パフォーミング・アーツ・イベント&マネジメント
    セッション3: Performing Arts Place & Management
            パフォーミング・アーツ 劇場&マネジメント
    セッション4: Mobility & Collaboration
            (舞台芸術の)移動性&コラボレーション
    セッション5: Performing Artists & Management
             パフォーミング・アーティスト&マネジメント
    セッション6: Performing Arts & Cultural City
             パフォーミング・アーツ&文化都市

日本からも、空間創造研究所 宮崎刀史紀氏、世田谷パブリックシアター 松井憲太郎氏、アンクリエイティブ 永利真弓氏、アート・ネットワーク・ジャパン 相馬千秋氏が、各セッションのスピーカーとして参加されていました。

ヨーロッパからのスピーカーとアジア(韓国、シンガポール、インドネシア、オーストラリア、モンゴル、台湾、中国、香港、日本)からのスピーカーが各テーマにのっとり、それぞれのプロジェクトの紹介や問題点、今後の展望などについて話を聞くことができました。

■ セッション1: Performing Arts Management

モデレーター: Sungyeop Lee氏
          (韓国/Uijeongbu Music Theater Festivalディレクター)
スピーカー:
Amna S. Kusumo氏(インドネシア/Kelola Foundationディレクター)
宮崎刀史紀氏(日本/空間創造研究所)
Munkhtuul Dashnyam氏(モンゴル/Arts Management
                    Information & Resource Center)
Judith Knight氏(英国/Artsadmin ディレクター)
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このセッションでは、主に各国のアーツ・マネジメントの教育環境やプログラム内容、人材育成について、また、アーツ・マネジメントに関わる最新のトピックなどについて、話されました。

インドネシアでは、アーツ・マネジメントに対する資金調達が難しいことから、アメリカ合衆国やオーストラリアからサポートを受けている状況、一方で、アーツ・マネジメントの歴史があるイギリスで現在問題になっているトピックなど、全く異なる現状を同時に聞くことができるセッションでした。日本の現状として、指定管理者制度の話を空間創造研究所の宮崎さんが紹介されていました。


■ セッション2: Performing Arts Events & Management

モデレーター:Christophe Blandin-Estournet氏
          (フランス/Excentrique Festival 芸術監督)
スピーカー:
Meekyung Choo氏(韓国/DAUM Institute for the cultivating &
               Research of the arts ジェネラル・マネージャー)
Ratna Riantiarno氏(インドネシア/Art Summit Indonesia 2007
                舞台芸術部門委員長)
Anna Pitkanen氏(フィンランド/Kuopio Dance Festivalディレクター)
             (韓国/Kuochon Hamadan Festival)
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このセッションでは、フェスティバルを中心に、各スピーカーが携わっている催事の成り立ちや構造、問題点などについて議論されました。韓国では、近年急速にフェスティバル、特にコンテンポラリーのものが発達し、地域性と密接な関わりがある点、またインドネシアでは国政に左右されてしまう現状が紹介されました。

中でもフィンランドでは、他2カ国と違い、国からのサポートが充実していて、特にコンテンポラリー・ダンスが発展する基盤が作られているという話があり、その環境の違いを目の当たりにしました。また、「“Festival”と”Art Event“の違いは?」という質問から議論がされたのですが、単純に公演数や公演期間で分けるという意見や、”Festival“と銘打ったほうが資金調達しやすいなどという戦略的な意見など、その言葉に込められている意味の深さを考える機会であり、またそのことを話し合うこと自体が有意義であると感じました。


■ セッション3: Performing Arts Place & Management

モデレーター:Ping Heng氏(台湾/Crown Art Center ディレクター)
スピーカー:
松井憲太郎氏(日本/世田谷パブリックシアター プログラム・ディレクター)
Amy Barrett氏(オーストラリア/Lennard ディレクター)
Hyeon-wook Jeong氏(韓国/Sadari Art Center ディレクター)
Nan Van Houte氏(オランダ/Frascati Theatre ディレクター)
Mariam De Clopper(ベルギー/deSingel プログラマー、プロデューサー)

各国の劇場からスピーカーが招かれた本セッションでは、世田谷パブリックシアター(日本)、ピカ(PICA:Perth Institute of Contemporary Arts/オーストラリア)、サダリ・アートセンター(韓国)、フラスカティ劇場(オランダ)、デ・シンゲル劇場(ベルギー)の紹介が、設立から現在にいたるまで、その背景である各国の舞台芸術環境を交えて話がなされ大変興味深いものでした。

劇場とアーティストの関係といったものが話しの随所にあらわれ、劇場がアーティストを育成する役割の一端を担い、また一方で観客へのアプローチのための戦略もとるという、まさにプラットフォームとしての「劇場」ということを意識したセッションでした。特に、自由な発想の若手アーティスト達にとって固定空間で作品創造するという絶対的な有効性はもはやなく、劇場を飛び出しサイトスペシフィックなものがどんどん出てきている、という意見がデ・シンゲルの方から話された点が印象的で、劇場空間が今後どのように変化していくのかという期待が膨らむものでした。

この回から会場をNational Museum of Korea に移して、行われました。

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ちょうど吉野ヶ里展も開催されていました。街の中心部から少し外れたところに位置していたため、のどかな雰囲気も楽しむことができます。

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周囲の草むらには、うさぎが・・・

■ セッション4: Mobility & Collaboration

モデレーター:Mary Ann DeVlieg氏(ベルギー/IETM事務局長)
スピーカー:
Katelijn Verstrate氏
(シンガポール/Asia Europe Foundation プロジェクト・マネージャー)
Alison Carroll氏(オーストラリア/Asialink Arts ディレクター)
Jong-ho Lee氏(韓国/SIDance 理事長)
Simon Kirby氏(中国/SKA Culture)
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世界のアーティストが本国以外でパフォーマンスを行う可能性、実際に現地で創作活動を行うことによる創造性、協同製作の有効性、また、その問題と対策についてなど、モビリティ=流動性、可動性にまつわる様々なトピックについて議論されました。韓国の国際的なダンスフェスティバルであるSIDanceの他、実際にアーティストや舞台芸術が国境を越えて行き来するような事業を企画、助成を行っている機関の方が中心となって話がされました。

資金調達の問題だけでなく、舞台芸術が他の文化、歴史、習慣がある土地に行くことには様々な障害があります。その解決のために、実際現地に行く前にできるだけ効果的に調整ができるようにするツールとして“On-line Platform”という提案がASEF(Asia –Europe Foundation)からされていました。また単純に国境を越える以上の結果について、アーティスティックな側面からの提案(具体的には作品の紹介)もあり、なかでも、モビリティ=ヒューマン・ライツ(人間の権利)という言葉が大変印象に残りました。具体的に成果を計ることが難しいトピックではありますが、なぜ舞台芸術が国境を越えるのか、立ち返ってみる必要性を感じるものでした。


■ セッション5: Performing Artists & Management

モデレーター:Rosemary Hinde氏(オーストラリア/
         Hirano Productions マネージング・ディレクター)
スピーカー:
Seok Kyu Choi氏(韓国/Asia Now ディレクター)
永利真弓氏(日本/アンクリエイティブ代表)
Sung Eun Jang氏(韓国/Seoul Ballet Theater 国際部門ディレクター)
Judith Knight氏(英国/ArtsAdmin ディレクター)
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特にアーティストと直接関わる立場にいらっしゃる方々が集まった本セッションでは、アーティストにとってどのような環境、サポートが必要か、また実際にどのようにプロモーションしているのかといったことをメインにそれぞれのお話を聞くことができました。AsiaNowのプロデューサーのCho氏は、韓国から数多くのカンパニーを国際的なフェスティバルで紹介し、活躍の場を世界へ広げている事例を紹介されていました。

単純に海外に持っていくのではなく、各国のマーケットにあったアーティストを紹介することや、海外に行った方が伸びるアーティストを見極めるといった戦略については、実例も多く説得力がありました。また、アンクリエイティブの永利さんの実経験に基づいた話は臨場感溢れて興味深く、またアーティストに対する情熱が客席に伝わってくる様子が感じられました。
           
■ セッション6: Performing Arts & Cultural City

モデレーター:Benny Chia氏
         (香港/Fringe Club & City Festival ディレクター)
スピーカー:
Kab Soo Kim氏(韓国/Asia Cultural Hub City Project)
相馬千秋氏(日本/急な坂スタジオ ディレクター)
Georges Poussin氏(フランス/Section of Creative Industries
                for Developing UNESCO チーフ)
Kwon Huh氏(韓国/Seoul Youth Center for
                Cultural Exchangeディレクター)
Pekka Timonen氏(フィンランド/Culture for the City of Helsinki
                                      ディレクター)
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ヨーロッパとアジアの文化都市の違いにフォーカスした本セッションは、欧州文化都市、ユネスコのクリエイティブ・シティ、韓国・光州のアジアン・ハブ・シティ、そして横浜の文化政策の各事例を基に、それぞれの成り立ちや担っている役割、将来のビジョンなどが紹介されました。

UNESCOや欧州文化都市の政策は複数国が共同で、指定都市を文化的にバックアップし、文化都市同士のネットワークがその後発展し互いのプレゼンスを高めていくという、広範囲で長期的なプロジェクトです。また、光州のアジアン・ハブ・シティは、立ち上げまでの過程や、今後どのようなプランで進んでいくかといったことが紹介されました。

アジアでは、文化政策を各国が独自に行っているなか、アジアン・ハブ・シティとしてどのようにコンテンツを集約し発信していくのか、大変楽しみでもあります。急な坂スタジオの相馬さんが紹介された“Yokohama – The Creative City of Art and Culture”と題した横浜の活動も、建築物のリノベーションや、歴史的に見ても異文化が混ざり合い新しい創造物が生まれる環境など、都市が牽引する文化政策の事例として注目されていました。


■IETM@TPAM
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IETMセッション後も、話はつきません。

以上、6つのセッションを、思い出し、そしてかい摘んで、且つ個人的な所感にてご紹介してしまいましたが、セッション以外での時間、ランチやレセプションでの会話が参加者にとって重要な情報になったのではないでしょうか。スピーカーの方とは、普段お話する機会もないですが、ランチタイムなどでは、セッションを聞いているので具体的な話題もあり、カジュアルな雰囲気で気軽に声をかけられるチャンスです。興味を持って話しかければ、たとえ英語に自信がなくても、親身に答えてくれますし、話も聞いてくれます。お互い英語が母国語でないケースの方が多いくらいですが、内容を共有しているので、通じ合う部分が必ずあると思います。

「ネットワーク会議?」、「サテライト・ミーティング?」と、なんとなく漠然としていて掴み所のなかったIETMサテライト・ミーティングでしたが、初めて参加してみてわかったことは、世界中にいる、似たことをやっていて、似た悩みを持っている人たちが、顔を合わせて話ができる場であり、参加者に対してとってもウェルカムな雰囲気の会ということです。ネットワークとは決して目に見えるものではありませんが、きっとここでは、それを肌で感じ、実感できる場所だと思います。会員でなくてもIETMのミーティングに参加できますので、是非、来年3月のIETM@TPAMに足を運んでみてください。

つか
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by welcome-tpam | 2007-11-20 17:28 | IETM ミーティング
PAMS - ソウル舞台芸術見本市2007
Performing Arts Market in Seoul 2007 / IETM Satellite Meeting in Seoul 2007
10月8日から14日までソウルにて開催された舞台芸術見本市、Performing Arts Market in Seoul 2007(PAMS)と本年、PAMSに併設されている舞台芸術のネットワーク会議、IETM Satellite Meeting in Seoul 2007に参加しました。

■催事名   Performing Arts Market in Seoul 2007
■開催期間 2007年10月9日~12日
■開催場所 ソウル市内の劇場、アーツセンター、美術館など
Korea Foundation Cultural Center, Arko Arts Theater, Hoam Art Hall, National Theater of Korea, Sadari Art Center, National Museum of Korea

■プログラム
ブース出展、ショーケース、PromoTe yourself、オリエンテーション、オープニングレセプション、Producer’s Day、ランチミーティング、カクテルパーティー

・ショーケース数:18
・ブース数:79(1日20団体のブースが、4日間の出展期間中、毎日変わります。)
・PromoTe yourself:25
・参加者:521(登録者数)

2005年からスタートしたPAMSは今回で3回目を迎えました。昨年に引き続き、Seoul Performing Arts Festival(SPAF)、Seoul International Dance Festival(SIDance)と提携し、さらに本年は、IETMサテライトミーティングを併設した6日間の日程で開催されました。

1日目 10月8日
9日から始まるPAMS / IETMの前日に、ショーケースに参加される百鬼どんどろさん、えずこホールの星井理賢さん、キジムナーフェスタの前西原祥子さん、世田谷パブリックシアターの矢作勝義さん、TPAMスタッフ2名がソウル入り。到着したばかりでしたが、ショーケースを明日に控えた百鬼どんどろさんたちは、会場に行き、照明のチェックなどを行いました。

2日目 PAMS初日 10月9日
今回のPAMSは時間ごとに会場が変わりました。午前から15時半までのプレゼンテーションの時間はKorea Foundation Cultural Centerにて、16時半からのショーケースの時間は小劇場のメッカであるテハンノ(大学路)にて、20時からのフルレングスショーケースはHoam Art HallまたはNational Theater of Koreaにて行われ、全ての移動にはシャトルバスが運行されております。

この日の最初のプログラムはPAMS 2007のオリエンテーションで、星井さん、前西原さん、矢作さんが参加しました。その間、TPAMスタッフはブースのセッティングを行います。
今回は1日20ブースが日替わりで出展するので、4日間で80団体の出展となります。
これまでのブースの形態と異なり、丸テーブルに4から5つの椅子を囲み、より話をしやすい環境となっています。TPAMはブースを国際交流基金さんとご一緒させて頂き、国際交流基金さんの資料や日本から参加された方たちの資料がテーブルにずらりと並んでいたため、さまざまな方がブースを訪れました。
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セッティングを終えた国際交流基金・TPAM共同ブース

オリエンテーション後は、12時よりオープニングレセプションが始まり、軽いランチを取った後、13時よりブースオープン。ブース会場に隣接した場所では、PromoTe yourselfというプログラムも同時に始まります。このプログラムは、その日にブースを出展している6~7団体が映像を使って、各団体のプレゼンテーションを行います。公演の映像だけではなく、集客人数や傾向などをパワーポイントで作成しており、各団体、工夫を凝らしたプレゼンテーションでした。

その後は、テハンノ(大学路)に会場を移し、16時半からショーケース。この日は全て演劇のショーケースで韓国の3劇団とTPAMからは百鬼どんどろさんたちが出演されました。テハンノにあるArko Arts Theaterの小劇場での上演でしたが、小さな劇場はプレゼンターでいっぱいになっていました。百鬼どんどろさんたちはTPAM2007でも出演して頂きましたが、人形を使っていても、既存の人形劇というジャンルに収まらない作品で、多くのプレゼンターを魅了していました。さすが、短いリハーサル時間にもかかわらず海外での公演経験が多い方たちだとTPAMスタッフ一同、感激しました。ショーケース終了後は、韓国のテレビからのインタヴューも受けられ、お疲れだったと思いますが、どうもありがとうございました。

その後は、テハンノにある演劇関係者が集まるカフェで、プレゼンターたちが集うProducer’s Dayに出席しました。このプログラムは韓国プロデューサー協会が主催する催しで、PAMSの初日であるこの日に、参加者たちの顔合わせともなるパーティーでした。各国の参加者とも会った後、私たちは翌日行われる韓国の劇団、ダンスカンパニー、音楽団体とのミーティング準備のため、一足先に失礼し、宿泊先の一室で、ミーティングに出席する韓国の団体の映像を見ることとなりました。日本からは、札幌のコンカリーニョの斎藤ちずさん、Japan Cotemporary Dance Networkの佐東範一さん、山口情報芸術センターの四元朝子さんも加わり、夜遅くまでのDVD上演会となりましたが、初めてお会いする方たちもいて、ちょうど良い顔合わせの機会となりました。

3日目 10月10日
9時半より、日本からの参加者にとってPAMS参加の重要な目的の1つであるJapan – Korea Performing Arts Meetingを行いました。韓国からは演劇、ダンス、音楽のジャンルから12団体が、日本からは、佐東さん、斎藤さん、星井さん、前西原さん、矢作さん、四元さんの6名が参加しました。このミーティングは、韓国の舞台芸術団体と日本の舞台関係者が出会い、率直な意見交換しながら、お互いの舞台芸術をめぐる環境を知り、日本での韓国の作品上演の可能性を探ることを目的としています。

日本の参加者の自己紹介の後に、韓国の団体がそれぞれプレゼンテーションを行いましたが、公演の情報だけでなくワークショップについても触れられ、さまざまな可能性を期待できる内容でした。プレゼンテーション後は、日本の参加者からの質問などが出て終了。ミーティング後は、カンパニーからより詳しい話を聞くために、ランチをとりながら打合せをし、リラックスした気分で話をすることができました。

午後はブース出展とPromoTe yourselfに参加し、午後はテハンノに移動し、ダンスと複合のジャンルのショーケース、その後は、またブース会場近くに戻り、SIDanceのプログラムとなっているフルレングスのショーケースをみました。

4日目 10月11日
この日からIETM Satellite Meeting in Seoulが始まります。午前中のプレゼンテーションの時間に、IETMのセッションが入るスケジュールでした。IETMについては、後ほど、まとめて触れたいと思います。

お昼の後は、Japan – Korea Performing Arts Meetingに参加した団体とのミーティングを行いました。みなさん聞きたいポイントを聞くことができ、突っ込んだお話もして頂いたので、それぞれの方の頭のなかで具体的なイメージを持ち易くなったと思います。

夕方からは全て音楽のショーケースをテハンノのSadari Art Centerにて観ました。1番目のGongmyoungというグループのショーケースでは、メンバーに連れられ、斎藤さんが舞台上へ!彼らの音楽とともに熱く踊って頂きました。

夜のフルレングスショーケースは演劇でしたが、一部の人はSIDanceのプログラムを、矢作さん、前西原さんはJapan – Korea Performing Arts Meetingで話をしたSadari Movement Laboratoryの作品をテハンノで上演していたのでその公演を、それぞれ観にいきました。

夜は、ホテルの屋台で合流し、話はいつの間にか日本の舞台芸術について展開。みなさん、熱く盛り上がったことから、この日のお話から何か始まりそうな予感です。

昨年のPAMSに参加した時も感じたことですが、日本を離れ、日本の舞台芸術関係者の人々とともに深く話をする機会というのは大変、貴重です。これまで面識のなかった人同士が、観た作品や日本の舞台芸術を取り巻く環境について話をすることで、日本に居ては作りにくいネットワークが生まれることになります。

海外のフェスティバルや見本市に参加することの意味は、もちろん各国の人たちと出会うということもありますが、こうした日本の人との出会いももう一つの重要な側面なのだと思います。屋台のあとの2次会については、私が参加しておりませんので、記載できませんが、さらに盛り上がっていたことでしょう。

5日目 10月12日
前日と同様に午前中は、IETMのセッションでした。
お昼の後は、ブースとPromoTe yourself。夕方からはダンスと複合ジャンルのショーケースでした。その後は、前日、矢作さんと前西原さんが観た作品を星井さん、宮崎さんが観に行き、TPAMスタッフと他の人たちは、Korea Arts Management Service のGyu Seog Lee代表とPAMSスタッフの方々とお食事をしました。Korea Arts Management ServiceはPAMSや今回のIETMの開催のほか、Gwangju(光州)にアジアにおける文化のハブとなる都市づくりを進行しています。

矢作さん、前西原さん、星井さんは明日出発なので、ソウルの最後の夜。まだ食べていなかった焼肉を食べました。このブログの愛読者の方はご存知かもしれませんが、昨年も訪れたお店と同じお店でした。
美味しいプルコギを頂いた後は、夜のショーケースに駆け込み、その後は、ホテルの一階、レストランで行われたカクテルパーティー。まず、PMAS事務局長のJiyun Wieさんが挨拶をし、IETM事務局長のMary Ann DeVliegさんを紹介、その後、TPAM副事務局長の大原が次回のIETMはTPAMと共同で行われることをみなさんにお伝えしました。

この会では、私たちのテーブルに韓国の芸術団体の方がいらっしゃり、それぞれの作品を紹介して頂いたりしました。パーティーの中盤で、Korea Arts Management Service のLee代表がPAMSのスタッフを紹介し、昨年と同様、TPAMスタッフのTさんは涙を浮かべていました。毎年のことですが、PAMSのスタッフのみなさんの大変なお仕事ぶりを感じられて、私どもも頑張らねばと思い、カクテルパーティーは幕を下ろし、PAMSの日程は終了しました。

                                          くぼた
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by welcome-tpam | 2007-11-13 14:47 | 世界の舞台芸術見本市
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