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「ディスタンス・フェスティバル」(6月19、20日)出演者募集!!
PARC-国際舞台芸術交流センターよりお知らせ(2010.5.2)

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ストーク・ニューイントン・インターナショナル・エアポート(英国)プレゼンツ
「ディスタンス・フェスティバル」(6月19、20日)出演者募集!!

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東京芸術見本市(TPAM)2010の提携事業として開催されたブリティッシュ・カウンシル・ショーケース「Connected」参加アーティストであるストーク・ニューイントン・インターナショナル・エアポート(Stoke Newington InternationalAirport)企画、ディスタンス・フェスティバル(Distance Festival)が6月19、20日に開催されます。

ロンドンを拠点としたアーティスト集団ストーク・ニューイントン・インターナショナル・エアポートは、3月に初来日公演の際、「親密性」をテーマとした『Live Art Speed Date』を発表。アーティストと観客による一対一の4分間のデートという濃厚でプライベートな時間を共有するユニークな作品で好評を博しました。

 今回は「ディスタンス(距離)」というものをテーマに世界中からアーティストを集め、まさに距離を越えて作品を発表する、ライブ・パフォーマンスの概念そのものに切り込んでいくフェスティバルを開催します。参加アーティストはスカイプや、ライブ・ストリーミングなどデジタルテクノロジから電話や手紙など従来の通信手段まで様々なかたちで距離を越えたパフォーマンスを繰り広げます。現在、フェスティバル参加アーティスト募集中です。会場であるロンドンのストークニューイントンと物理的な距離を越えて、「距離」という概念へのアプローチに興味のあるアーティストの皆様、この機会をお見逃しなく。

■ディスタンス・フェスティバル(Distance Festival) ■
~a weekend of performance over distance~
2010年6月19日~20日(イギリス時間)

ディスタンス(距離)という概念は常に私達の生活の一部として存在しています。現代社会において、我々はかつてないほど、近距離、遠距離に関わらずこの距離というものの複雑性について思考せざるを得ない状況にあります。コンキスタドールからライアンエア*1、スカイプ、聖地巡礼、チャットルーム、お隣の玄関までありとあらゆる多様な選択肢が、国境を越えた人や場所、また通りを一つ越えた人や場所との関係性のなかにあるのです。また、テクノロジーがインスタント・プレゼンスやライフスタイルの多様性をもたらすことによって、その複雑性がさらに助長されるなか、一体距離と私達との関係とは何でしょうか?私達はどのようにして、不在、親密さ、スピードをもって生きていくのでしょうか?私達はいつその距離を縮めたいと欲求するのか、また距離をとることを必要とするのでしょうか?

ディスタンス(距離)というものに関連したアイディアを探求する地元の、地域の、また海外のアーティストの方に広く参加してもらいたいと思います。特にパフォーマンス、インタラクティブに一定時間でライブのお客さんとつながることのできる実演を募集します。もし本企画に興味があるアーティストの方は、以下のホームページよりアプリケーションフォームをダウンロードし、お申し込みください。

ディスタンス・フェスティバル ホームページ:www.fromadistance.co.uk
申し込み締切り:2010年5月8日

参加いただくアーティストは5月14日までにお知らせします。
詳しくは次のメールアドレスからメーリングリストにご登録くださいませ。
info@fromadistance.co.uk

DISTANCEは第三機関とストーク・ニューイントン・インターナショナル・エアポートによる企画です。

http://www.stkinternational.co.uk

*1 ライアンエア:欧州の格安航空会社

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From: PARC - 国際舞台芸術交流センター
150-0022 東京都渋谷区恵比寿南3-1-2 サウスビル3F
Tel: 03-5724-4660 / Fax: 03-5724-4661

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by welcome-tpam | 2010-05-02 20:39 | Meet at TPAM
Meet at TPAM vol.4: 京都芸術センター 西と東の壁を超えて発信中!
「Meet at TPAM」はTPAMに参加した国内外の舞台人が、どんな出会いをし、どんなプロジェクトを実現したのかをご紹介するシリーズです。

<Meet at TPAM>第4回目は、ブースとヴィジュアル・プレゼンテーションでTPAMに初参加された、京都芸術センターのアートコーディネーター 福島尚子さんにお話を伺いました。

◎京都芸術センターでは、伝統芸能からコンテンポラリー・アートまで、幅広く多彩な活動をされていますが、現在、舞台芸術の分野でメインで行われている活動についてお教えいただけますか?

主な活動を紹介します。一つ目は「演劇計画」というプロジェクトで、名前には「演劇」と付いていますが、人材の発掘、育成を目的に、舞台芸術全般に関するいろいろなことをやっていこうというものです。

今年度は、昨年度の『BlueLion』に引き続き、白井剛さんに滞在制作で新しい作品をつくっていただく予定です。
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演劇計画2008『BlueLion』 撮影:塚田洋一
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演劇計画2008『BlueLion』 撮影:清水俊洋

その他、「演劇計画」の一環として、時代の舞台表現を切り開くような活動をしている演出家に対して「京都芸術センター舞台芸術賞」を設けて活動のサポートを行ったり、さらに「公開講座」で写真家や音楽家、作家など舞台関係者以外の方々に、演出という観点から物事を見てもらって、演劇にまつわるいろいろな切り口を探っていこうという講座があります。

二つ目は、「KAC Dance Institute」というダンサー育成のためのワークショップです。ダンス関連の事業はほかにもあるのですが、中心になるのがこのプログラムです。

三つ目が、「制作支援事業」として行っている制作室(稽古場)の貸し出しです。センターは元々小学校だったのですが、12の教室をスタジオに改造した稽古場=「制作室」を劇団やダンスカンパニーなどに提供しています。

使用団体は、年に2回、3月と9月に募集し、我々アートコーディネーターではなく、ダンスや演劇等の専門家に申請書類を見てもらって、制作・発表をするものの内容、希望の部屋や期間等を決定しています。利用料は無料ですが、制作室の清掃、市民との交流事業の実施を条件にしています。2008年度は50団体・個人に利用いただきました。
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KAC Dance Institute 2009「平山素子 ムーブメントリサーチワークショップ」

◎今回、TPAM2009に初めて参加いただきましたが、参加の経緯についてお教えいただけますか?

元々TPAMの存在は知っていて、いずれ出たいねという話はしていたのですが、京都と東京で遠いということもあって、なかなか踏ん切りがつかないでいました。

思い切ったのには、いくつかの理由があるんですが、まずは、「京都芸術センター」と言っても、知っていてくださる方もいれば、ご存じない方 ――特に関西以外には―― も、まだたくさんいらして、「東京の芸能花伝舎とか、横浜の急な坂スタジオみたいなところなんですよ」という風な説明をしたりするんですが(笑)、そろそろセンターも創設から10年経ちますし、もっと広く知ってもらう時期が来ているんじゃないかということ。

また、センターの主催事業に、「アーティスト・イン・レジデンス」というのがあって、3ヶ月を限度に国内外のアーティストを受けいれています。今年も8月中旬から3ヵ月間、海外のアーティストが滞在制作を行いました。近年は海外のアーティストを多く受け入れています。他に、「トラディショナル・シアター・トレーニング」という、俳優やダンサー、研究者向けに伝統芸能のワークショップを約3週間にわたって行なうプログラムでも、参加者の半数以上が海外の方です。TPAMには海外からの参加者も多いので、海外のアーティストなどへ向けて、センターのプログラムを発信したいという意図もありました。

そして、どうせ東京へ行くなら、センターという「施設」としてだけ参加するのではなくて、センターを使ってくれているカンパニーやアーティスト、みんなで行かないと、センターとして意味がないと思いました。実際、「西と東の壁」というか、関西から全国発信するのはなかなか難しい。例えばKIKIKIKIKIKIのきたまりさんみたいに、関西を拠点にしてても自力で東京へ行ける人もいるけれど、多くは関西以外の人に見てもらう機会がなかなかないのが現状です。「それじゃあ!」というので、1年以内にセンターを使った人に絞ってTPAMに参加したい人を募集して、一緒に行くというかたちにしたんです。

◎単独でブースを出すのは厳しいというカンパニーもいると思うので、ある地方でダイナミックな活動をしている施設や団体が、地域のアーティストを率いてTPAMに参加してくださるのはとてもありがたいです。

今回は、2ブース借りたんですが、1つはセンターが負担をして、もう1つはみんなに5,000円ずつ出してもらって、足りない分はセンターで支払うということにしました。ひとつ、センターから参加者への条件として、資料だけ託して本人は行きません、というのはナシにしましょうということにしました。やっぱり直接会うのが大事なので。ブースにたくさん資料を置いていましたけれど、あそこに置いていたひとはみんな、TPAMの会場に実際に赴いたということになりますね。

みんなで参加して良かったのは、マンパワーがあるので、参加準備やブース番など、一人ひとりにかかる負担が減って、みんなでシェアーできたことです。例えば、それぞれが持ち寄った映像素材を、参加者のなかで編集が得意な人がまとめてくれたり、ブースでセンターのスタッフが誰かと対応しててお相手できないとき、制作室を使ってくれている人が対応してくれたり。みんなが協力して、リレーのようにお互いに繋げていけたのが良かったなと思ってます。
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東京芸術見本市2009 京都芸術センターのブース 撮影:堀之内毅

◎センターとアーティストの連携プレイですね。その結果、参加されてどうでしたか? どのくらい手ごたえがあったか、なかったか・・・率直に伺えれば。

やっぱり舞台芸術ですから、すぐに結果が出るものではないので、「成果」ということは一概には言えませんが、9月頭のKAC Dance Instituteのワークショップの講師を、TPAMショーケースの「Tokyo Dance Market 2009」(アンクリエイティブ主催)で観たKENTARO!!さんにお願いすることになりました。

◎そうですか! そうするとTPAMショーケースを観終わって、すぐオファーという感じだったんですか?

いえ、その頃、センターでダンサー育成のプログラムをしようという話はしていたんですが、具体的にはあんまり固まっていなくって。もちろんKENTARO!!さんの名前は知ってたんですけど、関西ではなかなか観られる機会がなかったので、ショーケースを観た時は、「すごいなあ! こういう言語でダンスをしてる人がいるんだ」って驚いていただけでした。

それから実際にワークショップの企画を練り始めて、講師として何人か名前が挙がってくるうちに、「そうだ! KENTARO!!さんがいいじゃない!」って思ったんです。京都でダンサー育成のワークショップをやるときに、京都の人を講師に呼ぶだけじゃあんまり発展性がないな・・・と思ってたところに、KENTARO!!さんがぴったりきたっていう感じですね。

KENTARO!!さんのダンスは「観て楽しいコンテンポラリー・ダンス」っていう感じなので、コンテンポラリーに拘わらず、いろんなダンスをやっている人、むしろ「コンテンポラリーって難しくてわかんないんじゃないの?」って言っている人にこそ、このワークショップを受けて欲しいなと思って。

それからは、するすると話が進みました。TPAMでKENTARO!!さんにも実際に会ってましたし、(マネージメントをしている)アンクリエイティブCANの担当者の方にもご挨拶していたので、まったく知らないところから始めるよりだいぶ楽でした。

◎ブースだけでなく、ヴィジュアル・プレゼンテーションにも参加してくださいましたが、プレゼンの反応はどうでしたか?

ヴィジュアル・プレゼンテーションでは、「京都創生座」という京都芸術センターが受託事業としてやっている京都市の事業を中心に紹介しました。創生座は、能、狂言、歌舞伎、日本舞踊、邦楽など、流派を超えた伝統芸能のコラボレーションで、いままでに京都で3回公演をしています。

プレゼンの後に、興味をもってくださる方が何人かいてお話ししたんですが、それからコンタクトを続けていています。2010年の2月頃に今年の3月に京都で初演した『四神記-神降る都の物語-』の改訂版を東京で上演予定です。
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京都創生座 第三回公演『四神記-神降る都の物語-』 撮影:大島拓也

◎京都創生座、早くも東京進出ですね! 
ところで、今年は、公共文化施設の参加が多かったのですが、出展者同士の交流はありましたか?


お互いに他館のやり方とか運営状況がすごく気になるので、高知県立美術館さんや、かすがい市民文化財団さん、山口情報芸術センターさんとは、お互いに聞き合ってました。

やっぱりみんな同じような問題や悩みをかかえてますね、って言ってたんですけど、例えば、「ボランティアさん、どうやって活用されてますか?」とか、「主催公演、オリジナリティのあるものをしたいけど」とか、「クレームへの対処はどうやってます?」とか、「海外から人を呼ぶ時はここは絶対に気をつけてる」とか、同じ問題意識を持った館同士でノウハウを共有できるのはいいですよね。

◎今回、開館直前という時期にブース出展していただいた東京の「座・高円寺」は、2階にカフェがあって、夜11時まで営業してるんですよね。

そうそう!この前、座・高円寺に行ってきたんですけど、すごくいいなと思って!建物の構造から、使用時間に至るまで、いろんな人が出入りし、交流できる機能を綿密に考えていらっしゃるのには驚きましたし、すごく刺激を受けました。 例えば、退館時間を11時にするのは大変なことだったでしょうし、スタッフの方々、ほんとに志高くやってらっしゃるなあって、思いました。

これだけたくさんの舞台関係者に一度に会えることがなかなかないので、そういう意味では、TPAMで一年分を「かせぐ」ことができて、重宝してます(笑)。カンパニーで出展している方の中にも、実は公共ホールで働いていますという人もいらしたり、制作さんにも、いくつものカンパニーの制作をやってる方がいるので、そういう方にパッと会うと、ひとつの糸口がいろんなところへ繋がったりする。

私も旧知の制作者の方と偶然TPAMで再会して、「今度、センターを使っているモノクロームサーカスと仕事をするけど、制作のひとにまだ会ったことない」って言うので、繋いであげたり。ミーティングがひとつ減っちゃったみたいな(笑)。先日も、センターのスタッフのひとりがTPAMショーケースを観に行った関係から、パパ・タラフマラの制作さんがセンターに来てくださいました。「京都で公演をやりたいんですけど、センター、どんな感じですか?」って。

◎その場で具体的な話にならなくても、この先になにか起りそうな、ゆるやかなネットワークが結ばれていく感じですね。

そうですね。
あ! そういえば、TPAMでイギリスから来た「ロトザザ」のメンバーと話してたら、このあと京都と奈良に行くって言うので、「じゃあセンターに来てください!」って言ったら、TPAMの終わったあとに、ほんとに来てくださったんです!

ロトザザの参加型パフォーマンスはカフェでやるじゃないですか。センターにもカフェがあるので、「ここでやれたら最高なのにね!」って言ってくれて。アーティスト・イン・レジデンスにも来たいって言ってたので、京都ヴァージョンの作品をつくってくれたら楽しいなと思っているんです。
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東京芸術見本市2009 ロトザザの参加型パフォーマンス『エチケット』 撮影:堀之内毅


◎それは楽しそうですね! ぜひ実現させてください。今日は、TPAMをきっかけにいろんなところに種が蒔かれてることがわかって嬉しいです。また何か新しいプロジェクトが生まれたら教えてください。ありがとうございました。

◆ INFORMATION ◆

京都芸術センター 催し物情報

KAC Dance Institute
KENTARO!! ワークショップ 夏の終わりが届ける、ダンス。

日時:9月4日(金) 18:00~19:30
     5日(土) 15:30~17:00 18:00~19:30
     6日(日) 14:00~15:30

講師:KENTARO!!

★申込みは、応募用紙に必要事項を記入の上、京都芸術センターまで送付。(応募用紙はweb siteからダウンロードできます)

★ワークショップ最終日の9月6日(日) 18:00より、京都芸術センター内の制作室で、KENTARO!!によるパフォーマンス+トークを開催します(一般公開)。
料金:1,000円(受講生は無料)
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by welcome-tpam | 2009-08-20 18:04 | Meet at TPAM
Meet at TPAM vol.3: 快快(ファイファイ) TPAM2009参加からヨーロッパ・ツアー決定まで
「Meet at TPAM」はTPAMに参加した国内外の舞台人が、どんな出会いをし、どんなプロジェクトを実現したのかをご紹介するシリーズです。

<Meet at TPAM>第3回目はTPAM初参加にして、海外のフェスティバルからの出演依頼が複数あったという、快快の制作 山本ゆいさん、演出家 篠田千明さん、俳優 中林 舞さんにお話を伺いました。

◎今回、初のTPAM参加でしたが、まずは参加の経緯をうかがえますか?

篠田 「快快」は2004年に「小指値」という名前で立ち上げたんですが(2008年快快に改称)、当初から海外で公演したいっていうのが漠然とした夢としてありました。

メンバーのオルガがハンガリー人で、彼女がハンガリーのプロデューサーにDVDや資料を持って行って直接交渉してくれて、去年のうちに2009年8月のハンガリー公演が決まりました。初めての海外公演です。

山本 オルガは2008年のTPAMに、ダンスカンパニーノマド~Sのスタッフとして参加していて、2008年の5月にハンガリー公演の話が出たとき、「TPAMに参加しておいた方がいいよ」と言ってたんですね。結局、11月頃になってしまって、その頃にはハンガリー公演は自費でも行くと決めてたので、ハンガリーの前後にほかの場所での公演に繋げるためにも、TPAMに参加しようという話が再浮上したんです。

一方で、ハンガリー公演の前に、作品を仕上げるために東京公演をしたほうがいいんじゃないかという話があって、会期も合ってるし、海外からプレゼンターも来るから、「TPAMショーケース」に参加して、海外プレゼンターに作品を見せようということになって、急遽、3月の東京公演を決めたんです。
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快快『My name is I LOVE YOU』(2009.03.07-08/ゴタンダソニック)

◎今回TPAMショーケースに参加された『My name is I LOVE YOU』は英語での上演でしたね。

山本 2005年に『My name is I LOVE YOU』を初演したときは、演出の北川陽子が「身体と言葉を分けたい」と言って、そのアイディアを試した作品でした。初演はもちろん日本語での上演だったんです。海外公演が実現化するにあたり、「これは英語でも上演できる、海外でやるならこの作品」とみんなが一致しました。

篠田 まず脚本の北川が簡単な英語に直しました。帰国子女とかではないんで、教科書を見ながら翻訳をしていって、セリフも初演の日本語とはだいぶ違ってます。次にそれをオルガがちゃんとした英語に直して、それから逆にオルガの英語だと難しくなりすぎるところを、言い回しを変えて簡単にしていきました。ハンガリーも母国語が英語じゃないので、それでも解るような英語にしていって。

山本 そうやって台本が出来上がったのが2月の頭くらいで、そのちょっと前から稽古を始めてました。ただ、急に決めたので、もう他のスケジュールが入っていたりして、出演者がそれぞれ稽古を始める感じでした。まとまった稽古期間は1ヵ月にもなっていないと思います。

◎日本語でやるのと英語でやるのと大きく違うと思うんですが、どうでしたか?

篠田 相当大変でした。稽古自体、どう見たらいいかがなかなかつかめなくて・・・。最初、身体が言葉(英語)に引きずられているように見えて。不自由に見えましたね。

中林 日本語で一回普通に芝居して、その身体の感じのまま言語だけ英語にチェンジする稽古をしてました。

篠田 最初、アメコミみたいにしてみようと思ったんだけど、やってみたらぜんぜん面白くなかった。見たまんまじゃんみたいな(笑)。

やってみて「誰もほんとのことがわからない」っていうのがいいなと思って。どの国でやっても・・・例えば、英語が母国語の人にとっては、英語だってことはわかるけどちょっと変な、ガタガタした英語じゃないですか。日本語でしゃべるシーンもあるし。日本人にとっては、日本語はすっと入ってくるけど、英語はそんなに入ってこない。英語が母国語じゃないけど日本人よりは英語が得意な国の人が見ると、また違うんだと思うんです。話もわかって、パフォーマンスもわかって、どの国の人が見ても理解の度合いに差がないっていうのがいいなと思って。たとえ英語も日本語もわからない人が観たとしても、わりとわかるものになってるはずだし。

どの作品でも英語でやりたいとは思わないですけど、この作品はキャラクター同士のコミュニケーションが齟齬をきたしてるというのがあるから、いい感じになったんだと思います。会話になってないっていうのが一見してわかるじゃないですか? それが作品に合ってたと思うんです。

◎英語字幕をつけるという方法もあったと思うのですが?

篠田 『My name…』の場合は字幕をつけるっていうことは考えてなかったです。日本語でやって字幕をつけたとしたら、作品とお客さんとの間の齟齬の方が大きくなる気がして。もしも字幕を付けるとしたら、相当凝らないとと思ってました。ただ翻訳を付けるんじゃなくて、映像としてパフォーマンスと一体に見られるんだったらいいけど・・・。最終的には、まだ考え中だったんですけど、11月のTPAMの〆切ぎりぎりに「どっちかに決めて」って言われて、「じゃあ英語にします」って(笑)。

山本 英語でやるのは初めての試みだったし、〆切がないとなかなか決まらなかったいというのはありますね。
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快快『My name is I LOVE YOU』(2009.03.07-08/ゴタンダソニック)

◎TPAMショーケースに参加する場合、稽古と本番で忙くてTPAMの会場に来られないという問題がありますが、参加者への事前コンタクトはできましたか?

山本 稽古と並行して、TPAM会期前にコンタクトリストから海外の方には全員英語でメールを出して、国内の方も何人か事前にコンタクトをしました。

オープニング・レセプションには英語のできるハンガリー人を派遣しました。英語ができないと、簡単なコミュニケーションはとれても、具体的な話ができないので。ネイティブじゃなくても、英語ができる人がいるとぜんぜん違います。あと、その人の性格の問題もあると思う。TPAMの会期中にも、英語のできるスタッフに会場でDVDを配ってもらいました。直接メールをもらうなどの連絡はありませんでしたけど、そのDVDを見て公演に来てくれたひともいたと思います。

篠田 メンバーに、「TPAM、やるなら利用しようよ」って言って、制作的なことをちゃんとやってくれる人がいたからよかったと思います。

山本 TPAMの出展者説明会には、私の予定が合わなくて、役者の大道寺が行ったんですね。彼女が説明会のあとに、「こっちがアプローチすれば、事務局が協力してくれるんじゃないか。こっちがほんとに利用する気で参加しないと、ただ公演するだけで終わっちゃう」って言って。説明会の会場でも、ハンガリー公演をするにあたっての助成金の話を相談したらしいんですけど、説明会のあと、みんな益々TPAMを利用しようっていう気持ちになったんだと思います。

◎今回のTPAM参加は、ハンガリー公演が決まっていて、そのことがプロフィールにも書かれていたので、海外プレゼンターの注目も集まったのではないかと思います。実際にどんなプレゼンターが公演を観に来られましたか?

山本 ハンガリーの隣、スロヴェニアのムラディ・レヴィ・フェスティバルのディレクターのネヴェンカ・コプリヴシェクさん、ベルリンHAU劇場の芸術監督マティアス・リリエンタールさん(※1)、同じくドイツのテアター・デア・ヴェルトフリー・レイセンさん(※2)は2回も観に来てくれました。そのときはどこのフェスティバルのどれだけすごい人かもわからなかったですけど。

篠田 いわゆる“劇場”じゃなくて、ゴタンダソニックっていう場所だったのもよかったかもしれませんね。新しくできたのは知ってたんですけど、見に行って、キッチンがあるのがひとつの決め手になった。前に公演のあとにレセプション的なことをやってすごくよかったことがあったんですけど、今回、TPAMに参加するということもあって、あえてケータリングやDJを入れて公演のあとに観客と話せるような時間を設けたんです。

山本 メンバーみんな、ただ公演を見せるだけじゃなくて、クラブでイベントするのも好きだし、劇場空間で見られるより、イベント空間で見られるのが好きなので、海外の企画でもいわゆる劇場じゃなくてイベント形式にできないかと思って。

◎公演後のパーティのとき、中から歓声が聞こえてきたと言ってる方がいました。

山本 ネヴェンカさんが、その場で8月のハンガリー公演のすぐあとにあるフェスティバルに招待したいと言ってくれて、もう喜んじゃって(笑)。オルガから、TPAMに参加しても、公演が決まったりするのは2~3年後だと聞いてたので、ほんとにびっくりしちゃって。

マティアスさんは時間がなくて、公演後にすぐ帰ったんですけど、もう次の日に「会えるか?」って連絡が来て。青山の喫茶店で会って、10月のAsia-Pacific Festival Berlinに招待したいと言ってくれました。『My name…』をやる予定です。

いままで私たちの予定って、1年以内も決まってるかどうかだったのに、いきなりこんなに予定が決まっちゃって、みんなほんとにびっくりしてます。海外はカンパニーを始めたころから行きたかったので喜んでるんですけど、作品をどうするか、ちゃんと考えないと。

篠田 ハンガリーではパフォーマー向けのワークショップをやって欲しいと言われてて、それもあって先月横浜で、2010年1月のシアタートラム公演の出演者オーディションを兼ねて、初めてワークショップをしました。

◎そうすると、海外公演が2つ決まったわけですね。

山本 それが、ネヴェンカさんの紹介で、ハンガリー公演とスロヴェニア公演の間に、オランダのフローニンゲンである「ノールデルゾン」というフェスティバルに参加することが決まったので、ハンガリーのあと、3ヵ所回ることになりました。

ほかにも、公演を観てくれたウィーンのプレゼンターから連絡がきて、「忘れられない。ハンガリーにも見にいく」と言ってくれてます。その場で決まったというのではないですが、興味をもって連絡をくれていますね。

私たち、なにしろ海外にコネクションがなかったので、コネクションがなくても実際に作品を見てもらえるというのが一番大きかったと思います。TPAMのような場がなければ、特に海外の人にはなかなか作品を見てもらうこともできないので。

例えば、最初からツテのある制作者の方に紹介してもらうこともできたんでしょうけど、裏から責めてやっても、たぶん快快の場合は実際に作品を観てもらわないとダメだったと思います。間に誰も入れずに、TPAMのようなイベントをみつけて、自分たちで応募して、公演して、観てもらえて、決めてもらえたっていうのが良かったと思う。

◎そうですね。TPAM事務局でも、そういったなんのネットワークもないカンパニーにこそ、直接、プレゼンターと会えるチャンスを充分に利用していただいて、TPAMを有効活用していただきたいと思ってます。

篠田 すごく有意義なことだと思いますよ。特に快快と同じくらいのカンパニーとか、面白くて自信さえあれば、ちゃんと利用してやれば成果が出ると思う。私、ともだちにすすめました(笑)。

◎ありがとうございます! 今年は海外公演で大忙しになりそうですが、これからやりたい企画などはありますか?

中林 今回、海外が決まりましたけど、私は国内も回った方がいいと思ってて。具体的に「どこ」というのはないんですけど、東京だけじゃなくて、地方でやってみたいですね。北海道とか?

篠田 私は、アジアの方へ行ってみたくて。香港藝術フェスティバルとか。コネもなんにもないですけど(笑)。

山本 今回もコネもなんにもないのに、手探りだったけどやっていって、できちゃった(笑)。非常識なのかもしれないけど、それが逆に良かったのかもしれません。初めての海外公演ですけど、周りに心配してくれて、状況をわかってくれて相談に乗るよって言ってくださる方が多いので、ありがたいです。

◎TPAMも力になりたいと思っていますので、なにかあればいつでもご相談ください。今年のヨーロッパ・ツアーを契機にますます公演数も増えていくと思うのですが、これからもTPAMで新しいプロジェクトのきっかけを見つけたり、新しい舞台人とのネットワークづくりに利用していただきたいと思っています。今日はありがとうございました。
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快快『My name is I LOVE YOU』(2009.03.07-08/ゴタンダソニック)


◆ INFORMATION ◆

快快 2009年『My name is I LOVE YOU』ヨーロッパツアー

◎ハンガリー/ブダペスト
日時:8月14日(金)・15日(土)20:00
会場:Szkene Theatre Budapest
※ワークショップ:8月1日(土)~10日(月)

◎オランダ/フローニンゲン
ノールデルゾン・フェスティバル参加
日時:8月21(金)19:15 / 21:45・22日(土)19:15 / 21:45
会場:Grand Theatre Groningen

◎スロヴェニア/リュブリャナ
ムラディ・レヴィ・フェスティバル2009参加
日時:8月25日(火)~27日(木)17:00
会場:Glej Theatre

◎ドイツ/ベルリン  詳細決定!
第7回Asia-Pacific Weeks関連プログラム
日時・会場:10月14日(水) 22:30 快快パーティ(Foyer of HAU 2
       10月16日(金) 21:00 公演+パーティ(Foyer of HAU 2)
       10月17日(土) 22:00 公演+パーティ(Foyer of HAU 2)

フェスティバル・データ

●ノールデルゾン・フェスティバル
(Noorderzon Performing Arts Festival [NZ])

オランダ北部のフローニンゲンで毎年開催されるパフォーミング・アーツのフェスティバル。例年8月第3週目からの11日間に開催され、11~12万人が訪れる。2000年に小さなミュージック・フェスティバルとして始まったが、現在では、美術、音楽、ダンス、演劇の分野にまで広がっている。パフォーマンスは市立公園内の特設テントや路上、市内の劇場、映画館、工場、教会などで行われ、国際的且つ演劇と他のパフォーミング・アーツが融合した作品を積極的に紹介している。

● ムラディ・レヴィ・フェスティバル(Mladi Levi Festival)
スロヴェニアの首都リュブリアナで毎年開催されている演劇とダンスの国際フェスティバルで、独創的アイディアと方法で作品をつくるアーティストやカンパニーの作品を取り上げている。ムラディ・レヴィは、ドイツ、オランダ、チェコ、ラトヴィア、トルコ、イタリア、ベルギー、デンマーク、スペイン、英国、フランス、ノルウェー、スロヴァニアのプロデューサー、マネージャー、オーガナイザーの国際ネットワーク「JUNGE HUNDE」のメンバーである。このネットワークは、ヨーロッパ演劇の革新的傾向を更新し、地域の枠組みの外、あるいは国境を越えての協力を促進する状況を創出するために、若いアーティスト同士を結びつけ、その作品を世界のより多くの観客に提供することをミッションとしている。ヨーロッパで最も魅力的で優れたフェスティバルのひとつとみなされており、興味深いプログラムを提供するだけでなく、アーティストにフェスティバル全会期中滞在させ、他のカンパニーの作品を観たり、連携し、意見交換や新しいアイディアづくりの機会を提供することによって、未来の共同制作へとつなげている。

● アジア・パシフィック・ウィーク(Asia-Pacific Weeks [APW])
1997年からベルリンで隔年で開催されている、西はパキスタン、北はモンゴル、東は日本、南は大西洋諸島までをカバーするアジアにフォーカスした催事。ドイツ連邦政府・省庁、大使館、企業、美術館、劇場、ドイツ文化センター、アジアの文化団体、大学、研究所、財団などの協力により、ビジネス、科学、文化、社会の分野にわたる250以上のイベントが繰り広げられる。1999年には日本がテーマとなり、2009年には、アジア・パシフィック・ウィーク関連イベントとして、HAU劇場で日本特集が組まれ、快快のほか、チェルフィッチュなどが参加予定。

プレゼンター・インタビュー

国際交流基金が運営するウェブサイト「Performin Arts Network Japan - PANJ」にマティアス・リエンタール、フリー・レイセン両氏のインタビューが掲載されています。両氏のいままでの仕事や現在取り組んでいるプロジェクト、その社会的・文化的背景などについて知ることができます。

※1)マティアス・リエンタール氏インタビュー
「パフォーミングアーツの震源地HAU “世界に摩擦を起こす”その企みとは?」


※2)フリー・レイセン氏インタビュー
「欧州のアートシーンを牽引するフリー・レイセンが見るフェスティバルのアイデンティティとは?」


その他、下記原語表記での検索で、英語をはじめ各国語サイトから情報を得ることができます。

Ms. Nevenka KOPRIVŠEK(Director, Bunker/Mladi Levi Festival)
Mr. Matthias LILIENTHAL(Artistic Director, Hebbel am Ufer)
Ms. Frie LEYSEN(Curator, Theater der Welt 2010)

国際交流基金の海外公演助成

今回の快快ヨーロッパ・ツアーは、TPAM主催団体のひとつ、国際交流基金の助成を受けています。助成の詳細については、国際交流基金HPの「助成申請について」ページから、「文化芸術交流 > 海外助成」をご覧ください。
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快快 今後の国内スケジュール

2009年11~12月
フェスティバル/トーキョー09秋 参加
F/Tステーションにて、快快イベント開催予定

2010年1月
シアタートラム ネクスト・ジェネレーションVol.2
世田谷区芸術アワード“飛翔”2008受賞者公演
快快『Zeller Schwarze Katz[論文編]』(仮)再演
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by welcome-tpam | 2009-07-02 12:25 | Meet at TPAM
Meet at TPAM vol. 2: 劇団モムコル(韓国)@コンカリーニョ(札幌)
北海道の洞爺湖ではサミットが開かれるなか、7月4日・5日の両日、札幌市にある生活支援型文化施設コンカリーニョでは熱い舞台が上演されました。コンカリーニョが韓国から招聘した劇団モムコル(Corporal Theatre MOMGGOL)の作品『リアカーティジボジダ(Handcart, overturned)』です。

今回、上演となったきっかけは、2007年10月、ソウル舞台芸術見本市(Performing Arts Market in Seoul 以下、PAMS)において行われた韓国の12の芸術団体と日本の6人のプレゼンターとのミーティングでの出会いでした。12の芸術団体の1つに劇団モムコルが、6人のプレゼンターのなかにコンカリーニョのプロデューサー斎藤ちずさんが参加されていたのです。

■7月4日(金)
梅雨空のなか東京を出発しましたが、札幌では雨にも降られずに無事、旅館に到着しました。

生活支援型文化施設コンカリーニョは札幌駅から2つ目の琴似駅にあり、新千歳空港から直通電車で行くことができます。琴似は再開発が行われて、駅前には高層マンションが建てられ、その横に駅と直結した低層の商業施設が入っている建物があります。この商業施設のなかにコンカリーニョも入っているのです。
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琴似駅周辺の様子。駅の反対側にコンカリーニョがあります。
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コンカリーニョ入口前の広々としたスペース。
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コンカリーニョの看板です。

私にとって、コンカリーニョは遅まきながら初めての訪問でした。琴似駅に直結していて立地条件も良く、劇場の入り口近くの広々とした空間も素敵です。開場までちょっと時間がありましたので、周辺を歩いてみたところ、駅にはもちろんですが、至るところにコンカリーニョへの行き方と劇団モムコルのチラシが貼ってあり、日頃からきめ細かい情報告知をされているのだなと感じました。

開場時間の少し前には、既にお客様がちらほら。今日から3日間にわたって開催される文化経済学会へ参加される方も東京から何名かいらしていました。
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受付の様子。斎藤ちずさんがお客様をご案内しています。

コンカリーニョのウェブサイトによると、「1970年代の貧しいながら、明日への大きな希望を持っている時代を背景に、リヤカーやふとんなどのオブジェをモチーフに、言語に頼らない身体表現で物語を構築。ストーリーの演劇的構造を最小化し、観客と役者が心で出会う想像の地点を強調して、動きから生まれる詩と言葉の中から描き出される想いの躍動性を引っ張り出す」とあります。
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劇団モムコルの『リアカーティジボジダ』というタイトルは『リアカーひっくり返る』という意味だそうですが、4人の出演者はリアカーを完全に乗りこなし(通常、乗るものではないですが)、1台のリアカーが時には家になったり、遊び道具になったり、リアカーそのものとして使われたりと、様々なイメージを受け止めました。

また、劇中には、りんごを使ってのジャグリングのシーン、靴磨きのシーンでは観客を舞台に上げたりするなどのコミカルなシーンがある一方で、ひとりひとりの持つ怒りや哀しみも合わせて描かれているように私は感じました。観終わったのち、この作品に出会えて嬉しい気持ちになりました。
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この作品の重要な位置を占めるリヤカー。終演後も舞台上に置かれていました。

終演後、観客の興奮が伝わってくるように、会場の拍手はずっと続きました。
その後は、劇場内でレセプションが行われ、手作りのお料理がずらりと並びます。出演者、演出家も出てきて、観客と歓談をしながら楽しいひと時を過ごしました。レセプションの後は打上げが続き、さらに作品の話を伺うことができました。
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終演後、コンカリーニョでのレセプション。写真に写っていませんが、手作りのお料理、美味しかったです!

■7月5日(土)
快晴です。3年前の同じ時期に札幌を訪れた経験で長袖を用意してきたものの、今回は31度にもなる暑さ。すっかり洋服を間違えてしまいました。

前日でも少し触れましたが、今日は北海道大学をメイン会場として開催されている文化経済学会のシンポジウム「地域の繁盛は文化から~文化と地域の持続的経営を求めて」に参加です。伏島プランニングオフィス代表の伏島信治氏がコーディネーターとなり、アルテピアッツァびばい理事長の磯田憲一氏、東川町長の松岡市郎氏、札幌国際短編映画祭のプロデューサー久保俊哉氏、そしてコンカリーニョ理事長の斎藤ちず氏の4名のパネリストとコメンテーター小林真理氏のお話を伺います。

なかでも私にとって印象的であったのは、アルテピアッツァびばいの活動です。アルテピアッツァびばいは、美唄が炭鉱町としての歴史を終えた後、廃校となった小学校の跡地を、彫刻家である安田侃氏の作品を配しながら、16年かけて整備されたそうです。写真で見る限りですが、とても穏やかなたたずまいで、小学校であった時の空気と安田氏の彫刻がごく自然に調和していると感じました。

アルテピアッツァびばいには「こころを彫る授業」というプログラムがあり、ひとりひとりが石と向き合いながら彫刻を彫るのだそうです。このプログラムのように、アルテピアッツァでは自分自身を見つめ直す時間を過ごすことができるとのことでした。

私は国内のさまざまな地域に舞台芸術作品を観に行くことがあります。訪れた回数は決して多くはありませんが、作品を観に行くために知らない街を訪れることはとても楽しみです。初めて訪れる街への好奇心でもありますが、その街に住む人々と話したり、実際に街を歩き、見ることは、劇場のミッションや企画の背景について知る手助けのひとつになり得ると考えるからです。

都内の劇場のように、さまざまな場所から観客が訪れる劇場も多くあると思いますが、その地域と劇場との関係は切っても切れないものです。今回も、コンカリーニョを訪れて、自分の想像を超えて、大勢の地域の方がコンカリーニョの活動に関わっているのだと知りました。これからも自分の足で街を訪れることを大事にしていきたいと思いながら、シンポジウムを聴講しました。
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シンポジウムの様子。向かって右端がコンカリーニョの斎藤ちずさんです。

シンポジウム終了後、TPAM08にご参加頂いた札幌市教育文化会館の大野典子さんにお会いしました。

札幌市教育文化会館は地下鉄東西線の西11丁目の駅から徒歩5分。大通り公園から続く緑が目の前にある閑静な場所にあります。

まずは大野さんから教育文化会館で実施されている事業のお話を伺いました。お話のなかでもとりわけ興味をひいたのが、北海道出身の人形師である沢則行さんとチェコのオストラヴァ人形劇場(Puppet Theatre of Ostrava)の公演でした。沢さんの公演は日本でも各地で上演されていると思いますが、ちょっと異なるのは、円山動物園と協力し、動物園で沢さんの公演を実現、そして、沢さんとオストラヴァ劇場とのコラボレーションという点だそうです。

チラシを拝見しますと、裏面にオオカミの写真が! 今回、動物園での公演が実現した背景には、新しいオオカミの飼育舎がオープンしたということあるそうです。さすがにオオカミ舎での公演というわけにはゆきませんが、動物園のホールで、普段、あまり人形劇に親しみがない人たちもいらして、その後に行われたオストラヴァ人形劇場の公演にも来場されたとのことでした。

お話を伺った後は、大ホール(約1,000席)、リハーサル室、研修室を拝見しました。数年前、教育文化会館は改修工事をされたということですが、趣のある会議室やワークショップなどもできる新しい研修室が上手く融合していると感じました。
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札幌市教育文化会館です。

■7月6日(日)
本日も気温は31度ということ。生地が薄いとはいえ、長袖は暑いです。
昨日に引き続き、文化経済学会に参加します。本日からは分科会ということで、文化政策に関する発表に参加しました。

現代美術アワードの変遷と展開、ケネディ舞台芸術センターにおける国際プログラムに関して、出版における構造変容と公共政策、国際機関が提唱する都市(地域)文化政策についての発表でした。

ケネディ舞台芸術センターの国際プログラムに関して研究されている小島レイリさんの発表は、2008年に「Japan! culture + hyper culture」を実施していたことを知っていたので、興味深く聴講しました。

ケネディ舞台芸術センターの事業内容は、プログラム部門と教育部門の2本柱で、プログラム部門の1つである国際プログラミング部の事業は、「エトセトラ・シリーズ」「国際フェスティバル」「作品委嘱」「オペラ」に分かれているそうです。Japan! culture + hypercultureは、単年で2~4週間に開催される国際フェスティバルの1つということでした。

国際フェスティバルは、ワシントンDCの人口分布を見直し、地域コミュニティに結びつきの強い国々、アフリカ、ラテン・アメリカ、アジアの3地域に関するものを企画にとりこんでいるそうです。その背景には「主な観客層だった白人エリート層の好みを反映する主催公演シリーズ(ヨーロッパからの伝統的な舞台芸術)だけではセンターとしての成長がとまってしまう」(セッションレジュメより)という危惧があり、新たな観客の開拓を目指す意図があるとのことでした。

個人的に面白いと感じたことは、国際フェスティバルでは、「舞台芸術」のセンターにもかかわらず、文学や美術、ファッション、料理なども取り上げていることです。札幌から戻り、センターのウェブサイトを見てみると、Japan! culture + hypercultureでは、レストランで日本料理の特別メニューが用意されたり、日本酒の試飲会も開かれてて、舞台芸術になじみがない人々でもさまざまな楽しみ方ができ、それをきっかけに劇場へも足を運んでもらえるような催事になっているように感じました。

午後○○時。
サミットの影響で警備が厳しいのではと思い、少し早めに空港に移動しました。
眼下に広がる北海道の景色を、名残惜しい気持ちで眺めながら帰路に着きました。
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美しいキャンパスの北海道大学。写真には写っていませんが、小川が流れています。こんなキャンパスに通いたかったです…

文責 くぼた
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by welcome-tpam | 2008-07-23 11:57 | Meet at TPAM
Meet at TPAM vol.1:横浜赤レンガ倉庫1号館 堀木結さん
「Meet at TPAM」はTPAMで出会った国内外の舞台人が、
どんなプロジェクトを実現していったかをご紹介するシリーズです。

ダンス共同制作プロジェクト『Aaressa ~かたわらで~』
横浜赤レンガ倉庫1号館 プロデューサー  堀木 結さん

第1回目の<Meet at TPAM>は横浜赤レンガ倉庫1号館プロデューサーの堀木結さん。12月7日から始まる日本-フィンランド-韓国 ダンス共同制作プロジェクト『Aaressa ~からわらで~』の準備の合間をぬってお話しをうかがいました。

◎ 堀木さんが手がけていらっしゃる、日本―フィンランド―韓国 ダンス共同制作プロジェクトの立ち上がりの経緯をうかがえますか?

横浜赤レンガ倉庫では毎年「横浜ダンスコレクション」を開催していますが、2004年より3年間にわたって、日仏共同制作プロジェクトとして、フランスの演出家による作品を日仏両国の俳優、振付家/ダンサー、舞台スタッフを起用して制作、両国で公演して大きな反響を呼びました。

この経験をふまえて、今年度より3年間はこれからダンスに力を注ごうとする2~3カ国の共同で、若手アーティストが作品作りだけを目的とするのではなく、両国の交流、教育事業展開を目指すプロジェクトについて発案、検討していたところ、フィンランド・ダンス・インフォメーション・センターからの賛同を得て、日本とフィンランド、そして韓国の3カ国共同のプロジェクトを3ヵ年計画にて行うことが決定しました。

しかし、フィンランドでの受け入れ先と開催時期について頭を悩ませていたところ、今年3月の東京芸術見本市(TPAM)で、フィンランドのフルムーン・ダンス・フェスティバルディレクター、ハッリさんにお会いしたんです。

◎ ハッリさんのことは以前からご存知だったのですか?

いえ、TPAMで初めてお会いしたのですが、お話しする中で、若手アーティストへの機会提供という基本理念の一致から、すぐに意気投合しました。

また白夜など日本にはない自然環境を体験でき、フィンランドで最も良い季節とされる7月に開催されることや、世界各国からも注目を集め、参加アーティストの将来展望も期待できるフェスティバルということで、思い切って、その場で共同開催を決定しました。

◎ その場で!?

はい(笑)。そして、最終的に、毎年日本とフィンランドの振付家やダンサーが、横浜とフィンランドでアーティスト・イン・レジデンスを実施し、レジデンス期間中に生まれた作品をそれぞれの場所で舞台作品として発表しようということになりました。

3月にTPAMで出会ったその場で、7月のフルムーン・ダンス・フェスティバルへの参加を決めたので、その翌日からが大変でした。既に大部分が決定していたフェスティバルのプログラムに新しいプログラムを組み込んでいただき、既に入稿が迫っていた集合チラシに情報を間に合うよう手配するなど、慌しく準備が始まりました。

◎ それは・・・想像するだに大変そうですね。そして迎えられた4ヵ月後のフェスティバルはいかがでしたか?

7月のフルムーン・ダンス・フェスティバルには、「横浜ダンスコレクションR」の横浜ソロ×デュオ<Competition>+の受賞者の中から、森下真樹さんとイ・ソンアさん(韓国)に参加していただきました。フィンランドでの2週間のレジデンス中、森下さんとソンアさんが地元のダンサーに振付をし、その作品を発表することができました。

また、ハッリさんからの依頼で、フェスティバルの本公演でも自作のソロ作品をそれぞれが、2日間にわたって公演しました。フィンランドにはない2人の個性的な作品はフェスティバルで発表された作品の中でもとても評判がよく、地元の観客の方々にもご満足いただけたと思います。

また、まだ「横浜ダンスコレクションR」をご存知でない各国のディレクターにも良い紹介の場となりました。フルムーン・フェスティバルでお会いした方々が来年2月の「横浜ダンスコレクションR」にいらしていただけることにも繋がり、プロジェクトの「成果」は予想以上に広がっています。

◎ フェスティバルの行われたピュハヤルヴィの町はいかがでしたか?

ピュハヤルヴィの町自体は交通のアクセスが良いとは言えない場所でしたが、フェスティバルの期間中は世界中からダンス関係者が集まってきます。

夏季休業中の屋内アイススケートリンクや消防署内の一角、使用していないスポーツジム、果てはスーパーマーケットの駐車場。あらゆるスペースで思い思いにパフォーマンスをするダンサー達を通し、ダンスに身近に触れ、自らもダンスで自己表現をする地元の若者の姿を数多く目にしました。

15年前に町の復興のために立ち上げられた「フルムーン・ダンス・フェスティバル」が「まち」全体に大きな活力をもたらし、アートに対する町の人たちの認知度を高め、また町の人たちのアートに対する意識や知識を高めていることを強く感じました。参加する側、支える側共に地元の方々との協働でフェスティバルが開催されている現場を目の当たりにし、とても感激しました。

◎ 横浜でも参考にできるような点はありましたか?

市民との協働はこれからの横浜の文化振興において、最も大切な要因の一つです。また、劇場やスタジオなど、従来のパフォーマンス・スペースだけでなく、市民がさまざまな場所でアートに触れる場を提供していくことも、より広く芸術文化を広げるためには必要です。

フルムーン・ダンス・フェスティバルはその両方を叶え、地元から発信されるオリジナリティあふれる街づくりに貢献していて、横浜でもそういった展開方法を参考にしていきたいと強く感じました。

◎ そしてプロジェクトの第2弾として、今度は「横浜赤レンガ倉庫1号館」にフィンランドのアーティストを招いてのレジデンス、そして作品の発表が目前に迫っていますね。

11月の初旬から、フィンランドからダンスだけでなく映像や音楽の分野でも活躍をしているヴェーラ・ネヴァンリンナさんをここ横浜に迎え、12月7、8、9日の本番に向けて、森下真樹さんとイ・ソンアさんとともに、新作『Aaressa ~かたわらで~』のクリエイションを行っています。

今回の公演では『Aaressa ~かたわらで~』のほか、ヴェーラさんのソロ『News』、森下さんの『デビュタント』と日本とフィンランドを代表する二人の代表作も同時上演します。日本とフィンランド、それぞれスタイルの異なる二人のアーティストの作品をこの機会にぜひ一緒にお楽しみいただきたいと思っています。
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◎ 一時的な「イベント」ではなく、双方に長期的な関係をもたらしてくれるプログラムで、日本・フィンランド両国にとって、とても価値のある試みですね。TPAMがそのきっかけをつくれたことを、とても嬉しく思います。堀木さんとハッリさんのプロジェクトは、今後、どのように展開していくのでしょうか?

会場やアーティストはまだ決定していませんが、来年も引き続きハッリさんのフルムーン・ダンス・フェスティバルにお世話になることを検討しています。

このプロジェクトは、「Education(教育)」「Exchange(交流)」をテーマに掲げて、若手アーティストの育成を目指して立ち上げられました。今後も、アーティスト同士が出会い、それぞれの文化的背景を超えて理解しあうことによって新しい作品を生み出す・・・その土壌づくりを進めていければと思っています。

◎ TPAMも少しでも多くのプレゼンターやアーティストにクリエイティブな出会いの場を提供できるように、たくさんの方にご参加いただき、ご意見やご提案、ご批判を頂きながら、試行錯誤を続けていきたいと思っていますので、ぜひこれからもご活用・ご協力をお願いします。

TPAMを通して広がっていく舞台芸術の可能性を機会があればぜひご紹介したいと思います。

◎ ありがとうございます。堀木さんとハッリさんのプロジェクトがこれからどう展開していくのか、ワクワクしますね。今日は公演前のお忙しいところ、どうもありがとうございました。

<取材者メモ>

取材の冒頭に、なんと堀木さんが4年前のTPAMで学生ボランティアとして仕事をしてくださっていたことが判明!

メールのやりとりもすでにベテランの貫禄(失礼!)があり、学生ボランティアさん=赤レンガの堀木さんというのがなかなかむすびつきませんでした。

が! そういえば、そうでしたそうでした!! 4年前、TPAMの会場だった池袋の東京芸術劇場を駆けずり回ってくださった、生真面目で真摯、そしてバイタリティに満ち溢れた女性がいました!!

パフォーミングアーツに対する 静かな貪欲さ。
4年前の堀木さんの印象です。あの頃、堀木さんはそれを密かに暖めて、めいっぱい出していける日を今か今かと待っていたのだと、いまさらながら感じます。

いろいろなかたちでTPAMに携わってくださった方々が、舞台芸術の世界で活躍されていることを知って、ガラにもなく胸が熱くなった一日でした。(K.N)


◆公演情報◆

この公演は終了しました


日本-フィンランド-韓国 ダンス共同制作プロジェクト
『Aaressa ~かたわらで~』

<日時>
12月7日(金) 19:00開演/8日(土) 15:00開演/9日(日)15:00開演
※開場は開演の30 分前です。

<会場> 横浜赤レンガ倉庫1号館3F ホール

<プログラム>
『News』
振付・出演:ヴェーラ・ネヴァンリンナ/サウンド・デザイン:トーマス・ノルヴィオ

『デビュタント』 振付・出演:森下真樹

『Ääressä ~かたわらで~』 (レジデンス期間中に創作された新作)
振付:ヴェーラ・ネヴァンリンナ
サウンド・デザイン:トーマス・ノルヴィオ
出演:ヴェーラ・ネヴァンリンナ/森下真樹/イ・ソンア

<チケット>
一般:3,500 円/学生:2,500 円/当日:4,000 円
※全席自由。未就学児はご入場いただけません。

<チケット取り扱い>
横浜赤レンガ倉庫1号館(TEL:045-211-1515)
チケットぴあ(Pコード:380-740)
(HP:http://t.pia.co.jp/TEL:0570-02-9999)
JCDN(HP:http://www.jcdn.org/

<主催>
横浜赤レンガ倉庫1号館(財団法人横浜市芸術文化振興財団)/
フィンランドセンター/Finnish Dance Information Center

<お問合せ>
横浜赤レンガ倉庫1号館(財団法人横浜市芸術文化振興財団)
TEL:045-211-1515
サイト: http://www.yaf.or.jp/facilities/sonota/aaressa/
ブログ: http://ameblo.jp/ydcr/
※レジデンスの模様をブログで配信しています。
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by welcome-tpam | 2007-11-29 14:16 | Meet at TPAM
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